大豆由来の植物肉原料(ミラクルチップ)を開発・製造するスタートアップであるDAIZ株式会社は、シリーズAラウンドで、株式会社農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)、三菱UFJキャピタル株式会社等の5社を引受先とする第三者割当増資により、総額6.5億円の資金調達を実施した。これにより累計調達額は12億円となる。
上段:「落合式ハイプレッシャー法」で栽培した発芽大豆
下段:DAIZの植物肉原料(ミラクルチップ)
■資金調達の背景と目的
この度の資金調達は、DAIZの植物肉原料(ミラクルチップ)の生産体制の拡大と研究開発(R&D)の強化を目的に実施しました。調達した資金は主に下記の使用用途を予定しています。
・日本初となる植物肉原料生産ラインの拡張(特許技術「落合式ハイプレッシャー法」を活用)
・本物の肉の味に近づけるためのR&D(「AIプロファイング技術」の開発)
DAIZは、植物肉の研究開発と生産供給体制の確立を目指し、年内に植物肉原料(ミラクルチップ)3,000トン/年の生産キャパシティの確保を目標としています。
■今後の展開
DAIZは、植物肉原料(ミラクルチップ)を提供するサプライヤーとして、大手食品メーカーや小売・流通企業への販売を主軸としてまいります。今後は国内だけでなくグローバル展開も見据えております。
DAIZは事業拡大を通じて、「第四の肉として植物肉を食す」という食文化の創出・浸透を図り、植物肉市場の発展に貢献してまいります。
なお、DAIZは、2021年に熊本県内に国内最大級の植物肉工場建設を計画しており、2020年内にシリーズBラウンドの資金調達を実施する計画です。さらに、「植物肉で世界を目指すスタートアップ」として、東京証券取引所マザーズ市場への早期の株式公開を目指しております。
■引受先の概要
株式会社農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)
三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合(三菱UFJキャピタル株式会社)
OCP1号投資事業有限責任組合(岡三キャピタルパートナーズ株式会社)
株式会社ニチレイフーズ
株式会社果実堂
■DAIZの大豆由来の植物肉原料(ミラクルチップ)について
2050年までに地球上の人口は100億人に達すると予測されています※1。世界的な人口増加と新興国の経済成長により、2030年にはタンパク質の需要に供給が追い付かなくなる「タンパク質危機」が起こり、タンパク質の需給がひっ迫することで、これまで以上に食肉価格の高騰が予想されています。
そこで、「植物肉」が代替タンパク質として注目されており、その市場は世界で9兆円を超えると見込まれています※2。
第四のお肉である植物肉が、牛肉・豚肉・鶏肉と同じように食卓に並ぶ時代が到来しています。
これまでの植物肉に使用されてきた主原料は大豆搾油後の残渣物であったため、①味と食感に残る違和感、②大豆特有の青臭さや油臭さ、③肉に見劣りする機能性(栄養価)といった課題が残っており、本格的な普及の妨げとなっていました。DAIZは独自の技術により、これらの課題を解決する植物肉原料(ミラクルチップ)の開発に成功しました。
特徴1.旨味や栄養価を増大、肉様食感を再現
味や機能性を自在にコントロールするコア技術「落合式ハイプレッシャー法」※3で大豆を発芽させ、旨味や栄養価を増大させます。その発芽大豆をエクストルーダー(押出成形機)※4にかけ、膨化成形技術※5により、肉のような弾力と食感を再現しています。これらの独自技術により、異風味を低減した植物肉原料(ミラクルチップ)を製造しています。
特徴2.独自製法による価格競争力
旨味や栄養価が増大した発芽大豆を使用しているため、他の原料や添加物を何も足さずして、植物肉原料が完成しています。発芽タンクを用いた独自の製造プロセスにより、原価低減を実現し、牛肉・豚肉・鶏肉に対し、価格競争力があります。
特徴3.大学との共同研究に裏付けされた技術
共同研究機関として下記の大学と連携しています。
◾️九州大学(松井 利郎 教授):植物肉原料に含まれる旨味成分の評価
◾️京都大学(後藤 剛 准教授):植物肉原料の栄養素の吸収性評価
◾️佐賀大学(穴井 豊昭 教授):非遺伝子組み換え大豆からオレイン酸リッチ大豆の育種
※1 国連推計「世界人口推計2019年版」より。
※2 UBS調べ。
※3 大豆の発芽中に酸素・二酸化炭素・温度・水分などの生育条件を制御し、大豆の旨味を引き出す栽培法。(特許第5722518号)
※4 食品加工時に使用される機械。材料に水を加えながら、高温下でスクリューで圧力をかけ押し出すことにより混練・加工・成形・膨化・殺菌等を行う装置。
※5 特許申請準備中。
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