會澤高圧コンクリート、米MIT発ドローンベンチャーと提携。インフラメンテ専用機体を共同開発

 會澤高圧コンクリート株式会社は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)発の航空宇宙ベンチャーであるトップフライトテクノロジーズ(TFT)と提携し、TFTが特許を持つハイブリッド電力システムを搭載した長距離・大容量の産業用ドローン(UAV)を共同で開発、コンクリート系インフラを中心に、監視や維持補修等のサービス事業を幅広く展開していく。

會澤高圧コンクリート、米MIT発ドローンベンチャーと提携。インフラメンテ専用機体を共同開発
当社は、対応が迫られているインフラのメンテナンス事業を推進して行くキーテクノロジーとして、バクテリアの代謝機能を活用することによってコンクリートのひび割れを自然に修復する「自己治癒マテリアル」の実用化を進めています。

自己治癒性能を持つ液体タイプの補修材を遠隔地のコンクリート構造物の表面にドローンで自動的に塗布する目視外ロボット施工法の早期確立を目指しており、ペイロード(最大積載量)が最低でも10kg以上、航続時間が1時間を超える本格的な産業用機体を模索していました。


TFTは、航空宇宙工学の研究者だったロン・ファン博士らMITの卒業生が中心となり2014年に設立。混合ガソリンを燃料とするエンジンで発電しながら軽量バッテリーに蓄電して電力を供給するハイブリッド電力システムを搭載した独自機体「Airborg(R)」の設計を特徴としています。

現行のドローンの飛行時間は最長でも15分程度と短く、バッテリーの交換が煩雑であるのに対し、TFTは一回の給油で長時間の飛行が可能であり、運行管理の手間を大幅に削減することができます。

さらに安定飛行の妨げとなるエンジンからの振動を抑制する機能や、優れたセンシング技術で、悪天候でも安定した飛行を実現致します。

両社は第一弾として、燃料やセンサー類を除き、最大10kgの積荷を抱えて最長1時間の継続運航が可能な新型機2機を今夏をメドに開発します。

機体には、

(1) レーザー照射の点群データを元に地形図や構造物の3D画像を作成する高性能ライダー(LIDAR)、
(2) 高解像度(4K)電子光学カメラ、
(3) コンクリート表面の浮きや剥離を解析するのに使うサーマルイメージングカメラ(サーモグラフィー)、
(4) コンピュータユニット等を搭載する予定。

これらの搭載装備だけで8~10kg、機体の総重量は33kgに達する見通しです。


これにより、地上のデータをドローンから収集・統合・蓄積・更新して顧客に付加価値の高い情報を提供し続ける「地理情報システム」(GIS)サービスを展開できるようになります。コンクリート系インフラの点検はもちろん、大規模農地の育成状況をモニタリングしながら農薬を散布したり、長大な送電線網を目視外で自動監視するなど、様々な用途に活用できるとみています。

両社は、機体の販売も同時に進めながら国内の顧客基盤をつくり、年末をメドに新会社などビジネスユニットの在り方について最終決定致します。

この間、他のテクノロジーベンチャーとの提携も積極的に進める考えで、機体の運行や保守点検については、国内ドローン業界の老舗で、すでに全国28カ所に認定教習所を組織しているTEAD株式会社(本社:群馬県高崎市)と提携致します。