アサヒグループホールディングス株式会社は、コーヒーの製造副産物である”コーヒー粕”を有効活用して持続可能な循環型社会の実現に貢献することを目指し、関西大学発ベンチャーとして過冷却促進物質の開発・製造事業を展開する株式会社KUREiに資本参加する。
今回、農畜産業をはじめとした幅広い領域で「過冷却促進物質(※1)」を実用化するノウハウを持つKUREi社への資本参加を通じて、”コーヒー粕”由来のエキスを用いた農作物の凍霜害防止材の開発を共同で推進し、食と環境に関わる社会的課題の解決を目指します。
具体的には、アサヒグループ内の飲料工場から排出されるコーヒー粕をKUREi社に供給し、これを主原料とした凍霜害防止材の事業化に向けKUREi社と共同で取り組みます。
凍霜害は、明け方の急激な気温低下に伴って発生した霜が花芽の細胞を部分的に破壊するなどして農作物の収穫に悪影響を与えるもので、日本国内では3~5年に1度の頻度で大規模な被害が報告されています(※2)。
被害が報告されている農作物は茶、梨、柿、梅、野菜類など多岐に渡り、生産者の所得低下や離農者の発生など、農業の持続性に深刻な影響を与えています。
これまで凍霜害への対策としては設備面(ファン、スプリンクラー)が中心であり、安価で効果の高い資材が求められてきました。
アサヒグループでは、国内36工場で副産物・廃棄物再資源化100%を維持しており、コーヒー粕に関しても、これまでに肥料へのリサイクルや、バイオマスエネルギーの原料として外部施設へ供給するなど様々な取り組みを進めてきましたが、これらに留まらずさらなる有効利用に向けた新たな用途を継続的に検討してきました。
※1:過冷却促進物質
水が凍って霜や氷になる際には、はじめに極めて小さな氷のタネ(氷核)が生まれ、それが少しずつ大きな塊になっていく(氷結晶の形成・成長)過程をたどります。
関西大学化学生命工学部の河原秀久教授は長年の研究を通じて、コーヒー粕中の成分が氷結晶の形成を妨げることを発見しました。
この成分は、氷点下においても水が凍らずに液体として存在できる状態(過冷却状態)を保ちやすくする作用をもつことから、過冷却促進物質と呼ばれています。
※2:凍霜害による被害額
3月下旬からの低温・降霜雪による被害について、全国の地方農政局等から報告された被害総額は約74億円(2013年)
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