ヤマシンフィルタ株式会社は、新素材「合成高分子系ナノファイバー」を使った農業用断熱資材の量産化体制を整備した。ナノファイバーを使用した多層断熱資材が、省エネルギー化の推進、生産の安定化につながることを実証した。
◆ナノファイバーを使用した多層断熱資材が省エネ化など生産者の経営環境改善に貢献
多層断熱資材は、優れた断熱性を有し、省エネルギー化に有効であることが知られ、同時に断熱性は冷房負荷の軽減、冷房コストの削減に有効であると考えられています。
特にナノファイバーを多層断熱資材の中綿として利用した場合、多層断熱資材の収束性の向上や重量の低減とともに、断熱性を更に向上する効果が期待できます。
こうした背景を踏まえ、ヤマシンフィルタでは、建設機械向けフィルターの「ろ材」用に開発した合成高分子系ナノファイバーを多層断熱資材の中綿として使用した、農業用断熱資材の量産化体制を整備しました。
本製品は利用することにより二酸化炭素(CO2)削減が見込まれ、省エネルギー化の推進、さらには生産者の経営環境の改善に貢献することが期待されます。
また、農林水産省でとりまとめた「施設園芸 省エネルギー生産管理マニュアル(改定第2版)」(http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/pdf/manyual-kaitei2.pdf)のコラムでも紹介されるなど、今後の普及が期待されます。
◆ナノファイバーとは?
近年、注目を集めている「ナノファイバー」は、多層断熱資材の中綿として利用することで、多層断熱資材の収束性の向上や重量の低減とともに断熱性をさらに向上させる効果が期待できます。
ナノファイバーは、「直径が 1〜1000nm※ (より狭義には 1〜100nm)で、長さが直径の 100 倍以上ある繊維状物質」と定義されています。
ナノファイバーは、従来の繊維より極めて細く、同じ素材で製造した場合でも従来の繊維には見られない高強度、高耐熱性などの優れた特性を発揮することが期待されます。
また、ナノファイバーは、自動車や家屋、衣類などの断熱・防音材などに使用できるなど利用範囲が広いことから、施設園芸(温室)のための保温資材として利用する以外にも用途があります。
◆農家経営を圧迫する化石燃料に代わる、保温性を高めた省エネ多層断熱資材
施設園芸は、暖房に多くの化石燃料を使用しており、農林水産業に占める使用割合も非常に多いのが現状です。また、農家経営を圧迫する要因となることから省エネルギー対策が重要です。
被覆資材の断熱性を高めた多層断熱資材の利用は、温室の保温性を高めることができ、省エネルギー対策として有効な方法です。
ナノファイバー断熱資材は、温室の内部被覆に用います。また、遮光率が高いことから、自動開閉装置によって日中は開放し、夜間に展張することで夜間の暖房時や冷房時の断熱を図ります。
暖房時には、温室内の熱が被覆面から放熱されるので、放熱面となる天井、側面および妻面に展張することで、より高い省エネルギー効果が得られます。
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