千葉大と地域持続研究所、ソーラーシェアリングに関する全国実態調査を発表

 千葉大学倉阪研究室とNPO法人地域持続研究所は、全国の農業委員会に対して、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に関する実態調査を実施した。

その結果、全国の約3割にソーラーシェアリングが広がっているが、シイタケなど遮光率100%の案件や、遮光率が高くても生育する特定の作物が選ばれる傾向があることなど、太陽光パネルの下で育成する品種に課題があることがわかった。


● 調査報告書 http://ur0.biz/Q7zd


調査結果のポイント
①ソーラーシェアリングのための農地転用許可件数は、2018年8月末までで1347件。全体の29%。
2014年(217件)と比較すると4年間で6.2倍に増えている。


②都道府県別の許可件数が多い順に千葉県(313件)、静岡県(173件)、群馬県(132件)
千葉大と地域持続研究所、ソーラーシェアリングに関する全国実態調査を発表
③遮光率が高くても(日陰でも)生育可能な品種が選ばれる傾向がある。遮光率100%の事例が見られる。

作付け作物の許可市町村数の多い順にミョウガ(65か所)、サカキ(41)、米(35)、しいたけ(31)。

許可件数が多い市町村においてダイカンドラ、レッドクローバー(紫ツメクサ)が集中的に栽培されている。


④ソーラーシェアリングに懐疑的な農業委員会が多い
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「太陽光パネルの下で十分に営農できないと思う」(58.8%)
「わざわざ農地の上で太陽光発電をしなくてもいいと思う」(48.0%)


調査結果の考察
太陽光発電と営農が両立するようなソーラーシェアリングが広がり、その結果、耕作放棄地の解消や後継者の確保、エネルギーの地域自給への寄与がもたらされることが望ましい。

しかし、全国の農業委員会においては、売電を主な目的とする「ソーラーシェアリング」案件に苦慮している状況が把握できた。

とくに、ソーラーシェアリングと位置づけることが適切かどうか、疑問がある例として、ダイカンドラやレッドクローバー(雑草対策のため芝にかわるグランドカバーとして育成される品種)の作付けや、しいたけや薬用ニンジンなど遮光率100%の品種の作付けがある。このように従来の作付け品種とは全く異なる品種が選ばれることも問題であろう。

今後、国は、営農に繋がらない「ソーラーシェアリング」案件を抑制する取組を進めるとともに、国や県が、ソーラーシェアリングとして推奨する品種と適正な遮光率水準などを地域ごとに示し、健全なソーラーシェアリングを育成する取組が必要ではないか。