日本ソフト開発など、省電力広域無線通信技術を活用したブドウ農園の栽培環境モニタリング実証を開始

 日本ソフト開発株式会社、クロイ電機株式会社は、京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)が提供するグローバルIoTネットワーク「Sigfox (注1)」を活用し、ブドウ農園の栽培環境モニタリング実証実験を開始した。

日本ソフト開発など、省電力広域無線通信技術を活用したブドウ農園の栽培環境モニタリング実証を開始
今回通信に利用するSigfoxネットワークは、IoTに特化して開発・普及が進んでいるLPWAネットワーク(注2)のひとつで、低コスト・低消費電力・長距離伝送を特長としています。

今回の実証実験は、ブドウ農園やワイナリーを経営する丹波ワイン株式会社(以下、丹波ワイン)の協力を受け実施します。

Sigfoxネットワークを活用した京都府内初のブドウ農園栽培環境モニタリングの実証実験となり、京都府内におけるモデルケースの確立と、府内外への普及展開を目指します。


■背景
ブドウ栽培は、日照量不足による生育不良、降雨量過多や土壌水はけ不良による糖度不足等の品質低下発生リスクがあり、高品質なブドウ収穫のためには、外気温湿度、日射量に加え、土壌温度、土壌水分値の適切な管理が必要とされます。

またブドウの品質はワインの質に大きく影響するため高品質なブドウが収穫できるよう、センサやIoTを活用して栽培環境を総合的にモニタリングできる環境の整備が求められています。


近年では農業の環境計測においても3G・4G(LTE)などのモバイル回線、Wi-Fi・920MHz帯特定小電力無線などの無線技術を活用したIoT/ICT技術の導入が進んでいますが、導入・運用コストなどの費用対効果や通信距離の問題など普及にあたっては様々な課題があります。

こうした背景から、今回の実証実験では特別な環境を構築することなく低価格で利用できるSigfoxネットワークを活用することでこれらの課題を改善し、設置場所を選ばず、低消費電力かつランニングコスト低減を実現したブドウ農園の総合モニタリング環境を構築しています。

本実験に協力する丹波ワインの農園で収穫されるブドウは、隣接するワイナリーでワインとして醸造されています。実際に課題を抱えている農家様にご利用いただきながら実証実験に取り組み、収量予測、施肥の最適化等、農業現場で具体的に効果を発揮するソリューションの実用化を目指します。


■実証実験の概要
今回の実証実験では、Sigfox通信機能を搭載したセンサデバイスで温湿度を計測、Sigfox通信機に接続された日射計で日射量、土壌センサで土壌温度、土壌水分値を計測し、農業IoTクラウドサービスとの連携により、データの蓄積、可視化、予測、アラート等の検証を行います。

日本ソフト開発など、省電力広域無線通信技術を活用したブドウ農園の栽培環境モニタリング実証を開始

(注1) SigfoxはフランスのSigfox S.A.が提供しているIoT用のネットワーク規格です。2009年よりフランスで導入が始まり、ヨーロッパを中心に現在53カ国に展開されています。日本国内においては、KCCSがSigfoxネットワークを運営する唯一の通信事業者(Sigfoxオペレータ)として、2017年2月からネットワークを提供するとともに、利用エリアを順次拡大しています。


(注2) LPWAとは「Low Power Wide Area」の略で、低消費電力、km単位の長距離で通信できる無線通信技術の総称です。機器のバッテリー消費を抑えながら、データを収集する基地局まで電波を届けることができ、特にIoT(Internet of Things、モノのインターネット)向けなどに有用な技術であると注目を集めています。


■各社の役割
日本ソフト開発:農業IoT関連デバイスの開発、クラウドサービスの提供
クロイ電機:圃場におけるセンサ設置環境整備、データ検証作業支援
丹波ワイン:実験圃場の提供、栽培環境データの検証・評価
KCCS:Sigfoxネットワークの提供