ヤンマー株式会社は、リモートセンシングや土壌診断など、次世代の稲作に欠かせないヤンマー独自の営農・栽培支援を活用した酒米ソリューションの提供を2018年4月より本格的に開始する。
その第一弾として、沢の鶴株式会社が、ヤンマーの酒米ソリューションで生産された酒米を使用した純米大吟醸酒「沢の鶴 X01」を販売します。
日本国内では、米の需要低下や需給調整の見直しなど、新たな販路の確保や付加価値の高い米の栽培といった稲作農家へのサポートが重要となっています。
そのような中、ヤンマーではこれまで取り組んできた機械化・省力化・資源の有効活用に加え、加工・流通・販売を含む「食のバリューチェーン」を目指しています。
2016年8月に設立したバイオイノベーションセンター倉敷ラボでは、稲の品種開発や水田土壌の改良など、稲作関連の研究を進めています。
また、2017年10月に設立したファームアイ株式会社はセンシングにより圃場の生育状況を見える化し農家に合った改善策を提案するなど、ICTを活用した営農支援の提供を行っています。
このような研究成果や営農・栽培支援を組み合わせ、安定的な酒米契約栽培を提案してまいります。
■ヤンマーの酒米ソリューション概要
1.酒米契約栽培による日本酒メーカーとの販路マッチング
今回、実需者である沢の鶴と生産者をマッチングして、需要に応じた酒米の生産を実現しました。品種・面積・価格条件を播種前契約し、生産者の安定経営と実需者の安定的な仕入れに貢献します。
また、農家に対し、主食米から酒米(加工米)への生産転換を提案することで、水田を無駄なく活用し、生産者の所得向上に貢献します。
2.酒米(種子)の研究開発について
沢の鶴が求める品質の日本酒を造るため、ヤンマーの研究施設であるバイオイノベーションセンター倉敷ラボにて開発中の酒米候補となる系統の選定、評価を行いました。
名古屋大学との共同研究のもと、米の形状特性や生育特性、精米などの加工適性試験を実施。沢の鶴による酒造適正評価や試験醸造などを経て、条件を満たした酒米で今回の日本酒を醸造しました。
今後は、ヤンマーのイノベーション技術を活用して生産農家が抱える既存の酒米生産における問題点を解決するとともに、単独品種で新たな日本酒への採用などを目指し、酒造現場のニーズに応えられる低コスト・高品質を実現する酒造好適米の開発を加速していきます。
3.ヤンマーがもつ豊富な営農・栽培支援を活用
・ドローンを活用したリモートセンシングによる生育状況の“見える化”と改善策の提案や、作業日報や機械の稼動管理が行える営農支援ツール「スマートアシストリモート」など、ICT農業を取り入れた栽培管理の最適化で農作業の効率化を実現します。
・稲作に必要な資材費や農作業時間の短縮といったコスト削減に繋がる田植えの技術「密苗」など、省力化、低コスト化技術の導入による再生産可能な営農を提案します。
・酒造りに求められるお米の品質基準を達成する為、土壌診断による圃場に最適な施肥設計を行い、最適な栽培サポートを実施。収量の安定・品質の向上・資材(肥料)の削減に貢献します。
Editor's Picks
-
田んぼに浮かぶホテルがコンセプト、スイデンテラスがリニューアルオープン
-
緑演舎による造園家がプロデュースする個人住宅向け「GARDENNERS HOUSE」事業をスタート
-
ミラノ都市部で自然に囲まれたオフィス空間を実現。ハイテク企業や研究者のハブ施設へリニューアル
-
シンガポールの高層住宅タワーをリニューアル。屋上には住民参加型の菜園も整備
-
メルボルンに駐車場スペースを活用した屋上農園「スカイファーム」が来年に完成
-
台湾の青果市場、屋上に農場を導入した最新施設として2020年に完成予定
-
ロンドン、屋上に植物工場ファームを併設した地元フードコート施設を開設
-
UAEの陸上養殖ベンチャー『Fish Farm社』サーモンなどの魚を本格販売へ
-
カナダの大学が連携。クリーン・エネルギー技術を活用した『高層タワー型の植物工場』を計画
-
海面上昇の対策、海洋に浮かぶ街「フローティング・シティ」食料やエネルギーの自給自足を実現