千葉大学、植物工場における葉の老化抑制を実現する新たな植物栽培システムを開発

千葉大学環境健康フィールド科学センターの矢守 航 助教らが、植物工場における上方照射を用いた葉の老化を抑制する栽培技術を開発した。上方照射と下方照射を用いた作物栽培法には以下のようなメリットが考えられる。

・環境制御された施設内で栽培するため、天候に左右されずに安定供給が可能。
・農薬を使う必要がない。菌の数が少なく、賞味期限が長い。
・洗わずに食べることができる。
・生育環境の調整により、栄養価を高めた高付加価値野菜の生産が可能。
千葉大学、植物工場における葉の老化抑制を実現する新たな植物栽培システムを開発

<課題>
産業化に至るまでの課題の1つに「老化葉」が挙げられます。植物工場では高密度に植物を栽培するため、葉が複雑に幾重にも重なる結果、外側の葉まで光が届かず、老化が進行してしまいます。

これまでも出荷前に、老化葉を取り除く作業に膨大な時間と労力がかかっていました。植物工場において、作物の高効率生産・高付加価値を実現する栽培法を確立することが喫緊の課題となっています。

研究成果 ~「上方照射」を用いた新たな栽培技術~
現在の植物工場において、広く栽培されているリーフレタスを材料に用いて研究した結果、下方照射(植物体への上から下に向けてのLED照射)のみならず上方照射(植物体への下から上に向けてのLED照射)を加えることによって、外側の葉の老化を抑制することが明らかになりました。

また、下方照射と上方照射を組み合わせた新規栽培法では、外葉の老化を抑制するのみならず、光合成を促進させ、外葉の成長をうながすことも明らかになりました。
LED上方照射を行うことによって、収穫量の増大のみならず、老化葉を削減することができ、生産過程で生じるゴミ排出量の大幅な削減や老化葉を取り除くための膨大な作業量の軽減にも貢献できると考えられます。

詳細URL: http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000015177.html