住友精密工業株式会社は、株式会社構造計画研究所と共同で、秋田県大潟村の一部で水田水位監視サービスの実証実験を6月中旬より行います。実証実験では、住友精密が開発中の920MHz帯屋外無線ノードおよび構造計画研究所が現在開発している農業モニタリングサービス「MS4A(エムエスフォーエー)」を利用したセンサネットワークサービスを用います。
■ 背景と目的
秋田県南秋田郡大潟村は1977年に発足した村で、「日本農業のモデルとなるような生産および所得水準の高い農業経営を確立し、豊かで住みよい近代的な農村社会をつくる」というスローガンのもと、琵琶湖に次ぐ日本第2の広さを誇る湖、八郎潟を干拓して作られました。
大潟村の農家は、一戸当たりの耕地面積が全国平均の約10倍に相当する17.4haと広大な農業地を保有しており、農業地への移動と日々の見回りだけでも多大な時間を費やします。また、一戸当たりの農業スケールが大規模であるため、農作業のスケジュールが過密化することもあり、農作業の効率化・省力化が求められています。
住友精密と構造計画研究所は、ICTの技術を活用した施策の一つとして、住友精密の920MHz屋外無線ノードと、構造計画研究所の農業向けモニタリングサービス「MS4A」を組み合わせ、自宅や近所に居ながらにして水位を常時監視するセンサネットワークサービスを共同で構築しました。この度、地元の農業法人である有限会社田中ファームと株式会社合田農場の協力の下、水位監視サービスの有効性を評価する実証実験を6月中旬より実施いたします。
■ 水位監視サービスの概要
本サービスの構成イメージは図1の通りです。図1.水位監視サービス ネットワークイメージ
今回のフィールド検証では、観測点となる圃場(水田)1および2と、各圃場から6km以上の遠く離れた場所に位置する住居間での情報通信が必要です。各圃場の水位データは、中継器を介しゲートウェイがある倉庫に収集され、インターネット経由でクラウド上の MS4A サーバに送られます。また、各圃場では、電源が確保できないため、屋外無線ノードに付属した太陽電池によりセンシングや無線通信に必要な電力を確保しています。
利用者は、スマートフォンやタブレット端末の専用アプリ、PCのブラウザを用いてMS4A サーバにアクセスすることで、いつでもどこでも圃場(水田)の水位等を確認できます。また、本システムはあらかじめ設定している監視条件が成立した時に(例えば、水位が5cm以下となった場合等)メールで通知をする機能を搭載しており、通常、農耕従事者が毎日頻繁に監視している水田見回りの労力や時間負荷を大きく軽減することを見込んでいます。
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