電子部品工場の閉鎖:植物工場へ転用し、新たなビジネスチャンスを模索(アルプス電気)

電子部品大手アルプス電気の関連会社で、福島、宮城の両県の工場での設備清掃や人材派遣事業を行っている(株)アルプスビジネスクリエーション福島が4月より農業分野へ本格参入する。
 
 
同社は、農地を借りて試験的にトマトを栽培していたものの品質・生産性が上がらず、今回は農業技術ベンチャーのアニスから支援を受け、空調や水などの管理ノウハウや、トマト栽培に必要な土壌の提供を受ける
 
 
アニス農法では農薬を使わず、栽培されたトマトは糖度が高く甘みがある点が特徴。1個の重さは80グラム程度で、通常流通するものに比べると3分の1程度。販売はアニスを通じて、年間35トンのトマトをホテルや百貨店などに販売する計画
 
 
栽培施設は、相馬市内で約3300平方メートルの敷地を借り、ビニールハウスで構成する植物工場を運営する。総投資額は約1億3000万円農林水産省から「植物工場リース支援事業」として約5000万円の補助を受けながら、設備はJA三井リースから15年間のリース形式で調達
 
 
親会社であるアルプス電気では、電子部品の需要減を受けて相馬工場を3月いっぱいで閉鎖する他、他工場での需要も減っており、農業を新たな事業の柱にする考え。こうした半導体や電子部品関係の工場を植物工場に転用したい、というニーズは高いものの、規模拡大に従い、全国的な販売・流通戦略が構築できるのかが課題として挙げられるだろう。
 
 
※ 4月15日(木)東京にて「アグリビジネス研究会<植物工場の現場から経営戦略まで>」が開催されます。植物工場にご関心のある方は是非、お越し下さいませ。
 

※ 参考記事:日本経済新聞(2010/03/30)より