(独)産業技術総合研究所・北海道センターの生物プロセス研究部門植物分子工学研究グループは、ホクサン株式会社と社団法人北里研究所(現・北里第一三共ワクチン株式会社)と共同で、人工光型植物工場によるイヌインターフェロンαを産生する遺伝子組換えイチゴの果実を原料としたイヌの歯肉炎軽減剤を開発した。また、ホクサンが動物用医薬品製造販売承認申請を行い、2013年10月11日に認可された。
植物工場を利用することで遺伝子組換え植物を原料とした動物用医薬品の開発に成功し、遺伝子組換え植物そのものを原料とする医薬品の承認は、世界初となる。(写真は産総研北海道センターより)
経済産業省北海道経済産業局では、北海道で誕生した世界最先端の「遺伝子組換え植物を活用した医薬品等の有用物質生産技術」の商業化を目指し、平成13年度から、当該分野で革新的技術シーズを有する(独)産業技術総合研究所北海道センター(北海道札幌市)や、共同研究を行う民間企業等とともに、当該技術を育んでまいりました。
このたび、産総研北海道センターと共同研究を実施してきたホクサン(株)が、同センターの「密閉型遺伝子組換え植物工場」を活用して栽培した遺伝子組換えイチゴによるイヌの歯肉炎軽減剤(イヌインターフェロンα製剤)について、農林水産省から、平成25年10月11日付けで動物用医薬品製造販売の承認を取得し、当該技術で初の商業化を達成しました。
当局における支援について
「密閉型遺伝子組換え植物工場による有用物質生産技術」は、植物を遺伝子組換え技術を用いて工業生産プロセスとして利用し、医薬品原料や工業原料等の高付加価値製品を、安全かつクリーンに低コストで生産することを可能とするものです。産総研北海道センターが確立した技術シーズは、生産プロセス技術としての技術的優位性や経済性に優れ、世界でも類を見ない革新的な技術といえます。
当局では、こうした北海道発の世界最先端の植物バイオ技術を発展させるため、当省の研究開発費助成や、実証研究施設整備などの支援施策を投入し、支援を行ってきたものです。
遺伝子組換えイチゴによるイヌの歯肉炎軽減剤
ホクサン(株)、産総研北海道センター及び北里第一三共ワクチン(株)が開発したイヌの歯肉炎軽減剤は、産総研の研究プロジェクトで開発した「密閉型遺伝子組換え植物工場」を活用し、完全人工環境下で、イヌインターフェロンα発現イチゴを栽培するものです。このような、遺伝子組換え植物そのものを原料とする医薬品の承認は、世界初となります。
当局では、このほかにも「ニワトリの原虫病を予防する組換えジャガイモによる経口ワクチンの生産技術開発」や「ダイズ種子による医療用ワクチン成分の生産技術開発」など、産総研北海道センターと民間企業による「家畜用医薬品」や「ヒト用医薬品」の共同研究開発プロジェクトの支援に取り組んでいます。
イヌインターフェロンα
インターフェロンは、動物体内でウイルスなどの病原体の侵入に反応してリンパ球などの細胞から分泌される抗ウイルス作用、腫瘍細胞増殖抑制機能を有する蛋白質で、α、γなどの作用が異なる複数のタイプが存在する。イヌの体内で作られるインターフェロンの一つがイヌインターフェロンαである。
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