近畿経済産業局は、大企業の特許技術を中小企業で活用する知財ビジネスマッチングマート事業の第1号として、城陽市のプラスチックフィルムメーカー「中島工業」と富士通がライセンス契約を交わした、と発表した。中島工業は、菌を吸着して分解する富士通の光触媒を使い、抗菌性のある窓張りフィルムや医療用途フィルムを12月に発売する予定。
同事業は、中小企業の製品開発や新事業展開を促進する目的で経産局が本年度から始めた。休眠中の特許を持つ大企業と、技術を求める中小企業を発掘し、交流会や個別面談会を開催している。
今回活用する特許は、歯や骨の成分であるアパタイトにチタンイオンを導入した光触媒「チタンアパタイト」。中島工業はチタンアパタイトを樹脂に練り込み、フィルムに塗布した。チタンアパタイトは空気中の菌を吸着し、光で水と二酸化炭素に分解する。
同社は今後、植物工場の内壁などへの応用も検討している。中島睦夫社長は「付加価値のある製品を自社で開発するには時間がかかる。特許を使うことで市場が求めるものを早く出すことができる」と話す。富士通知的財産権本部ビジネス開発部の吾妻勝浩部長は「特許を活用することで研究者のモチベーションが上がり、ロイヤルティーを新たな研究開発費に回せる」とした。
経産局では10月以降、福井市や堺市などでオープン交流会を開く。経産局によると、国内の特許は約110万件あるが、およそ半数が実際には使われていないといい、長尾正彦局長は「特許も製品化しないと世の中に出ない。マッチングの動きをさらに広めたい」と話した。<参考:京都新聞より>
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