空調設備大手の大気社は人工光で野菜を育てる植物工場の建設に参入する。照度を従来型設備の2.5倍に高め、室温管理も徹底して結球型レタスを量産する技術を確立した。露地栽培と比べ生産期間を約2割短縮できる。食材を安定調達したい小売業や外食産業などからの建設受注を目指し、2016年3月期に50億円の売上高を見込む。
新技術は機械設計会社の森久エンジニアリングと共同開発。従来の植物工場は非結球型のサニーレタスは量産可能だったが、結球型のレタスは高い照度と厳密な温度調整が必要で、量産が難しかった。新技術は蛍光灯を自動車のヘッドライトと同じ構造の反射板で覆い、光の漏れを防いで照度を高めた。野菜を育てる棚ごとに小型の空調設備を配し室温も厳密に管理する。照明の数は減らせるため、電気料金を従来型より75%抑制できる。
建屋を除いた整備費は、1日に24株を収穫できる標準型(160平方メートル)で3500万円程度。さらに年間収穫量70万個強で受注額は約5億円程度、という。露地栽培では収穫までに60〜90日必要だが、新技術を使えば50日で栽培できる。結球型はレタスの出荷量の9割超を占め、外食大手やコンビニエンスストアなどの需要があるとみている。同社では国内だけでなく、中国や台湾、ロシアなど海外向けにも積極的に売り込む方針である。
<日本経済新聞、写真は同社プレスリリースより>
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