コンテナを利用した完全人工光型植物工場にて、野菜の生産・販売を行う「Vertical Roots社」では、新型コロナの影響を受け、仕事を失った外食関連の労働者20名以上を雇用した。シェフやマネージャー、ホールスタッフなど、飲食店・レストランにて働いていた幅広い職種の人が含まれている。
植物工場では、作業工程を分解することができ、作業員の熟練度に合った作業を任せることができ、初日からでも働くことができる。また、飲食店での知識・技術は、植物工場による野菜の栽培・販売にも役立ち、即戦力として活躍できる、という。
2016年に設立した同社は、1台のコンテナから栽培をスタートし、現在では130台以上が稼働している。栽培拠点は、サウスカロライナ州のチャールストン、コロンビアの2カ所となっている。
同社では、レタス系の商品(レッド・オーク、グリーン・オーク、レッド・バターヘッドなどのレタス)、ロメインレタスのベビーリーフ、ルッコラなどのハーブ商品などを生産しており、販売先は、地元周辺のスーパー、レストランなど400店舗。
ただし、直近は新型コロナの影響を受け、生産した野菜の98%を小売スーパーへ販売している、という。
同社の調査によると米国の葉野菜について、95%がアリゾナ州とカリフォルニア州にて生産された野菜が全米に販売されている。西海岸から東海岸へ配送するには「3週間」ほどの期間が必要となる。
保冷された状態で運んでいる場合であっても鮮度は徐々に失われていき、配送にかかるコスト負担や燃料代などの環境負荷にも大きなマイナスとなる。
一方、同社の場合は、地産地消にこだわり収穫してから24時間以内に店舗へ配送している。学校(食育や科学教育の出張講義)や地域のNPO(フードバンクへの寄付)とも密接に連携し、地域住民からの信頼も得ている。徐々に、同社の野菜を購入・支持する消費者も増えている、という。
今回、雇用した人々は、新型コロナが終息後に飲食店がオープンすれば、飲食店へ戻る人が大半。しかし、一部の人は同社に残り、植物工場で働くことを希望している、という。
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