UMITRON PTE. LTD.(シンガポール/ウミトロン)は、2018年9月6日付にてスパークス・グループ株式会社を運営者とする未来創生ファンドより、3億円の第三者増資を実施した。
今回のファイナンスは、2018年6月に実施した資金調達ラウンドの追加投資にあたり、総額で12.2億円となります。これは、水産テック分野のアーリーステージ投資として世界過去最高額(更新)になります(2018年8月時点)。
また、新たにIoTや衛星データの技術を活用して水産養殖における資産価値や環境評価を定量化することで、水産養殖保険を提供するためのデータサービス(※特許出願済)の実証を開始しております。
今回の資金調達により、既存・新規サービスの事業基盤強化並びに、水産養殖データを活用した新たな研究開発を推進致します。
ウミトロンでは、今後水産養殖保険サービスを共同で進めるパートナー(生産者、保険会社等)を国内外でより積極的に募集していきます。
■人口増加によるプロテイン需要の増大
国連の発表によると世界の人口は、2050年には97億人にもなることが予想されています*。また、水を除く人体の構成成分としてプロテインは、脂質と並んで2番目に多く、生命維持のために、最も重要な栄養素の一つです。
このような背景の中、アジアを中心に世界的な健康ブームが起こり、食全体における動物性タンパク質需要は拡大を続けています。
*国連World Population Prospects, the 2010 Revision
■グローバルで関心が高まる水産養殖
プロテイン需要が増える一方、食料を生産する耕地の面積や単位面積当たりの収穫量には限界があり、農業・産業・都市の拡大は淡水資源不足の要因にもなります。
また、牛・豚・鶏といった陸上動物は何千年も前から人の手で育てられている一方で、海洋魚類は未だに漁獲中心の供給が行われており、年間を通した安定供給や自然界の生物多様性保護の観点から水産養殖の需要が近年急速に伸び続けています。
■テクノロジーで水産養殖における経営リスクを改善
水産養殖主要魚種における適正環境(水温・水深等)を算出すると、海面養殖はグローバルで現在の100倍以上の生産ポテンシャルがあることが明らかにされており、今後も大規模企業養殖の参入等の急成長が見込まれています*。
一方で、自然災害などの環境リスクから生産者の養殖経営の安定性をどのように向上させるかは大きな課題です。2016年にチリで発生した赤潮の被害額は800億円以上と報告されています。
これらのリスク対策として提供されている既存の水産養殖保険は、被害額や環境変化の定量化について、これまで技術的な課題に直面していました。
ウミトロンは特許出願済みの技術により魚の資産価値を定量化し、水産養殖保険に必要な信頼性のあるデータを提供することで、生産者の経営リスクを削減し、持続可能な水産養殖の開発に取り組んでいきます。
*Rebecca R. Gentry, et. al., Mapping the global potential for marine aquaculture, Nature Ecology & Evolutionvolume 1, pages1317–1324 (2017)
■Umitronとは?
Umitron(https://umitron.com/ja/)は、成長を続ける水産養殖にテクノロジーを用いることで、将来人類が直面する食料問題と環境問題の解決に取り組むスタートアップ企業です。
シンガポール(本社)と日本(開発本部)に拠点を持ち、IoT、衛星リモートセンシング、AIをはじめとした技術を用い、持続可能な水産養殖のコンピュータモデルを開発しています。
2017年6月に1stプロダクトとして「UmiGarden®」をリリースし、魚群データ解析を用いた給餌コストの最適化サービスを展開しています。また2018年8月より、赤潮等の環境リスクの極小化を目的に、IoTを活用した水産養殖保険のためのデータサービスの実証を開始しております。
本サービスにより、今まで資産価値の定量化が難しかった水産養殖において準リアルタイムでの動産担保の評価を可能にしています。
[関連記事] 水産養殖の技術系ベンチャー「ウミトロ」9.2億円の資金調達を実施
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