福島・南相馬に太陽利用型植物工場が稼働 カゴメの技術指導と全量買取

※ 2016年1月20日 記事修正
 福島県・南相馬市の農業法人「南相馬復興アグリ株式会社」は2015年2月9日、太陽利用型植物工場を建設し、トマトの生産事業を開始する計画を発表した。今年の12月に栽培を開始し、来年の春に初出荷を予定している。技術指導は高リコピントマトなど生食用を太陽利用型植物工場にて生産するカゴメが行い、年間660トンの生産を目指す。

生産した商品はカゴメが全量を買い取り、一部はヨークベニマルのスーパーなどで販売される。植物工場の事業用地は、約2.4ヘクタールで、栽培面積は約1.5ヘクタール。用地取得費と建設費の合計は約11億円。環境制御システムを導入した養液栽培にて周年栽培を行い、地元を中心に約35名の雇用を計画している。

 同社は2013年1月に設立され、南相馬市にて太陽光発電設備やグランパ社のドーム型回転式の植物工場(太陽利用型)で体験学習を行っている「南相馬ソーラー・アグリパーク」の代表理事である東電の元執行役員の半谷栄寿氏が代表を務めている。会社には地元有志の他、ヨークベニマル、カゴメ、電通などが出資している。

その他、あぶくま信用金庫、東邦銀行の出資や融資、国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金などを活用しながら事業を運営する。農林中央金庫では、東北農林水産業応援ファンド(復興ファンド)と、東北農林水産業応援ローン(復興ローン)の融資を行っており、復興ファンドでは、制度創設以来最大金額となる6,000万円を出資している。

植物工場の施設は2015年11月に完成

 本施設は、福島県南相馬市の約2.4 ヘクタールの工業用地に、栽培面積約1.5ヘクタールの大型温室(太陽光利用型植物工場・環境制御型養液栽培施設)と附帯施設(出荷棟、管理棟等)を整備し、2015年11月に完成させた。

福島・南相馬に太陽利用型植物工場が稼働 カゴメの技術指導と全量買取
商品の初出荷は2016年3月、ほぼ通年でのトマト栽培を実現し、出荷量は年間約660トン(震災前の南相馬市におけるトマト生産量の約半分に相当)、売上高は約2億円を想定している。

また、雇用面では、主に栽培・収穫および出荷を担う要員として、正社員5名、パートタイム社員45名、合計50名を採用し、順調に生産を行っている。


【南相馬トマト菜園概要】
① 所在地 :福島県南相馬市原町区下太田字川内迫 310‐6
② 敷地面積 :24,088 ㎡
③ 栽培開始 :2015 年 12 月
④ 出荷量(生鮮トマト) :年間 660 トン程度
⑤ 売上高 :約 2 億円(想定)
⑥ 建設費用 :約 11 億円(用地購入費・工場建設費の総額)


南相馬復興アグリ株式会社
① 本社所在地 :福島県南相馬市原町区泉字前向 15
② 設 立 :2013 年 1 月
③ 資 本 金 :5,150 万円
④事業内容 :生鮮トマトの生産・販売等
⑤ 代 表 者 :代表取締役 半谷 栄寿