アグリビジネスがハイテク化するにつれて、近年では単なる生産性の向上を追及するだけでなく、環境負荷・投入資源の節約・土地や気象環境など生産条件によって、カスタマイズされた高度な生産技術支援サービスが展開されている。
例えば、元グーグルのエンジニア2名が設立したベンチャー企業であるクライメイト・コーポレーションは、農家向けに高度な技術サービスを提供している。
同社が開発したシステムは衛星画像を利用しながら、農家が営農するエリア別の天候や土壌データなどの生産条件によって、それぞれの農家にマッチした肥料投入量や収量予測シミュレーションをカスタマイズしてくれる。
同社のサービス画面:リアルタイムにて細かいエリア別の気象データの取得と、過去のデータを基にした予測シミュレーションが可能である。同社のWEBサイトより引用
同システムでは、収量が減少する要因を事前に予測することもでき、予測不能な異常気象が多発し、長期にわたって安定した収量確保が難しい現在において、各農家のためにカスタマイズされた科学的なデータは、営農の意思決定において非常に役立っている、という。
無料のベーシックモデルの他、有料のプロバージョンでは窒素やリンなど各肥料投入量の最適条件や病害虫コントロール、収穫計画など、さらに細かい情報を得ることができる。利用端末は、スマホやタブレットPCなど、あらゆるものに対応している。
大規模農業の先進国である米国では、同社以外にも、複合的なデータをアグリビジネスに活用しようとする企業が多く存在する。
カリフォルニアを拠点するベンチャー企業エディン社も、独自のセンサー技術により土壌の特性(水分・栄養条件)をモニタリングしながら、農家が営農している細かいエリア別にカスタマイズされたシミュレーションサービスの提供を行っている。
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