大阪府立大学では、新世代の植物工場による産学共同イノベーション拠点の構築を目指し、世界初となる時計遺伝子の先進的な研究成果の活用や、フルLED光源の大規模施設などを建設する。以下、同大学によるプレスリリースを掲載しておく。
新世代の植物工場による産学共同イノベーション拠点の構築
グリーンクロックス新世代工場プロジェクト
大阪府立大学は、平成23年4月に経済産業省および農林水産省の補助を受け、完全人工光型に特化した植物工場を整備し、植物工場に関する要素技術の研究開発や栽培技術の実証などに取り組んできました。
この成果をもとに、新たに中百舌鳥キャンパス内に、世界初となる時計遺伝子の先進的な研究成果の活用や、LED光源の全面的な採用などの最新設備をもつ「GREEN CLOCKS(新世代植物工場の実証・評価イノベーション拠点)」を建設・整備します。
同施設では、本格的な量産規模の植物工場の実用化を積極的に推進するとともに、実用性の高い植物工場標準プラントの実証評価事業を戦略的に展開し、市場競争力を発展させます。
GREEN CLOCKSとは
「グリーンクロックス」は、植物体を形成する細胞内に存在する時計遺伝子の特性を活用して作物栽培を効率化する技術のシンボリックな名称です
1 プロジェクトの概要
事業の背景(社会的課題・ニーズの解決)
社会的な課題
商工業の力を活かし農商工連携による6次産業化の牽引の役割を担う植物工場の普及拡大、「美味しい」「安全」「新鮮」を消費者に供給できる体制強化、輸出も視野に入れた植物工場ビジネスの推進
社会的ニーズ
被災地の雇用創出・風評被害の払拭、砂漠寒冷地など耕作不適地での作物生産の海外需要、新産業分野を担う人材の育成
特徴(植物工場研究開発の先端的実用成果の具現化)
完全人工光制御の大阪府立大学植物工場研究センター(PFC)は、平成23年から産学共同で、「高い生産コスト」という課題解決に挑戦。今回の事業は、その成果を新たに2つの柱で実現する画期的なプロジェクトです。
世界初:大阪府立大学発イノベーションの実用化(JST「さきがけ研究」)
(1)時計遺伝子の特徴を活用した制御アルゴリズムによる効率的栽培
(2)LED光源など固体光源を駆使した省エネ実証栽培
国内初:企業コンソーシアムとの連携。省エネ・省資源・IT援用生産技術の実用化
(1)ロボット技術活用による省力生産システム
(2)衛生管理システム構築による安全野菜作出栽培
(3)ハイブリッドエコエネルギーシステムによる省エネ運営
(4)複数プラント間の遠隔管理情報ネットワークシステムなど
本プロジェクトは、上記2つの柱の世界初・新技術の実装及び国内初・生産コスト縮減技術を融合した植物工場における生産コスト40%縮減技術を実証・評価し、被災地域に展開が始まった植物工場(福島県川内村など)へ早期に低コスト化技術を注入することや、量産型プラントの標準パッケージ「新世代型植物工場」の確立をめざします。
2 「GC新世代植物工場の実証・評価イノベーション拠点」の概要
規模等:S造地上1階 延床面積 約1,300平方メートル
事業費:6億円
完成:平成26年5月(予定)
場所:大阪府立大学 中百舌鳥キャンパス
設備:
・遺伝子診断型苗選別ロボットシステム
・栽培過程の完全LED光源
・量産型規模(日産5,000株)における実証・評価設備
拠点施設は、経済産業省の事業(注)などを活用し整備するものです。
(注)イノベーション拠点立地推進事業
経済産業省の平成23年度第3次補正予算事業/平成24年度当初予算:先端技術実証・評価設備整備費等補助を通じ、新技術の実用化による「新たな成長」の実現をめざす事業。
3 企業との連携
実証・評価プロジェクト事業の運営
・量産型規模における実証・評価設備を利用して、レタス等の野菜日産5,000株を生産から販売までのビジネス実証を行うため、今回、実証プロジェクトコア企業を中心に別途、運営販売会社を本年8月に設立する予定です。
なお、7月8日(月)に本学は、コア企業となる伊東電機株式会社・株式会社日伝・エスペック株式会社と連携協定を締結する予定です。
※ 詳細は大学によるプレスリリースをご参照下さい