代替肉ブームの到来、海外の市場動向レポート

食糧危機問題や環境問題による追い風効果

 今回の代替肉の市場拡大は、食糧危機問題や環境問題を背景に、かつての「クォーン」の拡大期にはなかった強い追い風を受けている。

2014年、米国ミネソタ大学環境研究所の所長ジョナサン・フォーリー氏は「2050年までに農産物の生産量を約2倍に増やす必要がある」と指摘した。人口増(現在から20億人増加)と食生活の変化(畜産需要の拡大)という、二つの要因が重なることで農産物の需要が大幅に拡大するとみられるためである。

そこで食糧危機の回避のために同氏が行った提案の一つは、「肉食中心の食生活を見直す」ということであった。畜産を経由せずに直接穀物を食べることで、より多くのカロリーを摂取でき(*3)、結果的に食糧危機を防ぐことができるというのが同氏の主張である。

加えて、畜産農業は、森林伐採に代表される生態系破壊のほか、メタンガス排出による地球温暖化、抗生物質の多用による薬剤耐性菌の増加、さらには屠殺に関わる倫理的な問題など、多くの難問に直面している。

これらの問題の抜本的な解決策として、各国の行政が「脱肉食」を志向して代替肉業界に補助施策を振り向けていくような展開も十分に考えられる。

*3: ジョナサン・フォーリー氏によると、100カロリーの餌(穀物)から得られる畜産物のカロリーは、牛乳なら40カロリー、鶏卵なら22カロリー、鶏肉なら12カロリー、豚肉なら10カロリー、牛肉ならわずか3カロリーである。

投稿者プロフィール

八隅 裕樹
八隅 裕樹
・神戸大学経営学部 卒(2012年)
・兵庫県信用農業協同組合連合会 入会(2012年~現在)
・コロンビア大学ビジネススクール 客員研究員(2017年~現在)

【資格】
・中小企業診断士 ・応用情報技術者

【研究】
・農業、食品産業 ・農業金融、協同組合金融 ・金融・経済史