ダイコンの食味を特徴付ける辛み、たくあんの黄色やにおいは、グルコシノレート(カラシ油配糖体)の一種であるグルコラファサチンの分解産物によりもたらされます。グルコラファサチンを全く含まず辛み成分の質が変化した突然変異体の存在が知られていましたが、この成分を合成する鍵酵素は不明でした。
2014年に東北大学大学院農学研究科の北柴大泰准教授らがダイコンのドラフトゲノム情報を発表したことから、グルコラファサチン合成酵素の同定に向けた研究が加速し、農研機構・野菜花き研究部門の柿崎智博主任研究員と北柴大泰准教授らによって、グルコラファサチン合成酵素遺伝子が発見されました。
今回の研究成果を利用して、農研機構野菜花き研究部門では原因遺伝子の塩基配列情報をもとに開発したDNAマーカーを利用し、種苗会社と共同で、グルコラファサチンが合成されず、辛み成分の組成が変化したダイコン品種である「悠白」と「サラホワイト」を育成しました。
これらの品種は、保存中にたくあん臭や黄変が生じないため、フレッシュ感のあるダイコン加工品の開発が進められています。
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