東大、1000種以上の植物に感染・枯死させるファイトプラズマ病を一網打尽に検出できる遺伝子診断キットを開発

 東京大学大学院農学生命科学研究科の難波成任教授らの研究グループは、世界中で発生し、農業生産に大きな被害を引き起こしているファイトプラズマ病を一網打尽に検出できる高感度遺伝子診断技術の開発と実用化に成功した。
東大、1000種以上の植物に感染・枯死させるファイトプラズマ病を一網打尽に検出できる遺伝子診断キットを開発
ファイトプラズマ病は、イネに感染し枯らすなど、1,000種類以上の植物に感染し黄化萎縮病、天狗巣病、葉化病などを引き起こし、作物の生産量や品質を著しく損ないますが、一旦発生すると防除が困難で、周囲の植物に昆虫を介して伝染するため、感染植物を早期に発見し処分することが唯一の防除手段です。

感染植物の早期発見のためには農業現場で使用できる簡易・迅速な診断技術が必須です。しかし、ファイトプラズマは40種以上により構成される多様な細菌グループであるため、これまで一部のファイトプラズマに対してしかそのような技術は開発されていませんでした。

 本研究グループは、世界中で発生している全てのファイトプラズマに加えて、未発見のファイトプラズマも検出できるファイトプラズマユニバーサル検出技術を開発しました。本技術を用いることにより、全てのファイトプラズマ病を簡易、迅速、高感度かつ安価に診断できるとともに、将来発生する予測不能のファイトプラズマ病の診断も可能となります。

本研究成果は「ファイトプラズマユニバーサル検出キット」として製品化されるとともに、東南アジア各国で実施されるファイトプラズマ病の根絶事業に活用されることが決定しており、今後、世界各地で発生するファイトプラズマ病の防除のほか、媒介昆虫の特定や発生実態の解明などに貢献することが期待されます。
東大、1000種以上の植物に感染・枯死させるファイトプラズマ病を一網打尽に検出できる遺伝子診断キットを開発
ファイトプラズマ
1967年にマイコプラズマ様微生物(mycoplasma-like organism,MLO)として世界に先駆けて日本で発見された重要な植物病原細菌のグループ(Phytoplasma属細菌)。1,000種以上の植物に感染し、感染した植物は黄化病や萎縮病、天狗巣病、(花の)葉化病など特徴的な症状を発症し、最終的には枯死します。

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