人工光型の植物工場と露地栽培による実験農場を稼働。生薬原料となる植物に関するノウハウ蓄積・将来的には化粧品の発売も目指す(資生堂)

株式会社資生堂では完全人工光型の植物工場と露地栽培による実験農場を稼働させ、生薬原料となる植物に関する栽培実験を実施する。同社では今後、自社での原料植物の栽培および植物原料の生産を拡大させ、自社の管理下で栽培された植物を配合した化粧品の発売も目指していく、という。以下、同社によるプレスリリースを掲載しておく。


資生堂、「実験棟」内に「植物栽培実験施設」や「実験農場」を稼動
“生産者の顔が見える”安心・安全な植物原料の生産に着手

資生堂は、掛川工場(静岡県掛川市・植本勇二工場長)「実験棟」内に、生薬原料となる植物を効率的に栽培できる「植物栽培実験施設」(写真(1)(2))を2012年12月に設置し、このたび試験運用を開始しました。あわせて、同工場敷地内には「実験農場」(写真(3))も開設、4月から本格運用を開始します。これらの取り組みにより“生産者の顔が見える”安心・安全な植物原料の開発に着手します。

今後は、早ければ2014年には自社の管理下で栽培された植物(※1)を配合した化粧品を発売することをめざすほか、将来的には原料メーカーの協力を得ながら、自社での原料植物の栽培および植物原料の生産を徐々に拡大していきます。

(※1)この時点では「当社の敷地以外の農園」において、当社スタッフも含めて栽培管理・収穫した植物


<「植物栽培実験施設」および「実験農場」設置の背景>
化粧品の消費トレンドとしては、ナチュラル・オーガニック志向層が拡大していることに加え、近年相次いだ食品偽装などの影響もあり、トレーサビリティー(追跡可能性)などの安心・安全に対するニーズが増大しています。

また、化粧品業界は、異業種からの新規参入や、外資メーカーの攻勢などで年々厳しさを増していますが、新規参入メーカーの多くは、自社の化粧品製造工場を持たず、他企業に生産委託しているケースがほとんどです。

資生堂では、1872(明治5)年に日本で最初の洋風調剤薬局として創業して以来、一貫して製品の効果・効能はもちろんのこと、お客さまに安心・安全をお届けすべくものづくりに努めてきました。このような状況の中、「化粧品の専業メーカーとしてできること」を検討した結果、自社敷地内に「植物栽培実験施設」および「実験農場」を設置し、“顔が見える”植物原料づくりに着手することとしました。


<「植物栽培実験施設」および「実験農場」を用いるメリット>
自社管理のもとで生薬原料植物を生産するメリットは以下の通りです。

1.種苗段階から自社で管理することにより、植物の生い立ちと生産者の“顔が見える”、「安心・安全」、「安定品質」かつ「トレーサブル」な原料調達が可能になります。

2.こういった質の高い植物原料を使用することにより、市場競争力の高い商品開発にも繋がるほか、栽培条件をコントロールすることで、有効成分をより多く含む原料調達の可能性も開けます。

3.産地の気候変動などの自然環境による影響が低減することから、「安定した収穫量の確保」、「価格変動リスク」の低減に繋がります。


<今後について>
今後は「植物栽培実験施設」および「実験農場」において植物栽培実験を推進します。自社の社員を提携先の実験農場に派遣するなど自社の管理下で育成・収穫した生薬原料の第一弾は、2014年度発売の商品への配合をめざします。

また、将来的には取引先企業の協力も得ながら、生産規模の拡大もあわせて視野に入れていきます。 また、植物工場の熱源の一部に自然エネルギーを用いるなど、化粧品業界初の「エコ・ファースト」取得企業として、安心・安全、高品質、安定調達のみならず、環境への配慮も両立させていきます。

※ 詳細は同社によるプレスリリースをご参照下さい。

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