Nordic社、セルラーIoTを活用したユニットでガス管異常の遠隔監視へ。植物工場や都市開発にも利用可能

超低消費電力無線ソリューションのリーディング・プロバイダーであるNordic Semiconductor(ノルウェー・オスロ)では、IoTソリューション企業の株式会社Braveridgeが、同社の「ガス導管内露点・圧力遠隔管理システム」に、ワイヤレス接続と処理能力向上を目的に、LTE-M/NB-IoT モデムとGPSを搭載したNordicの低電力System-in-Package(SiP)である『nRF9160』を採用したと発表した。

Nordic Semiconductor、セルラーIoTを活用したユニットでガス管異常の遠隔監視へ。植物工場や都市開発にも利用可能
Braveridgeのシステムは、ガス事業社がガス管の異常の原因を特定し、メンテナンスや修繕にかかる時間とコストの削減に役立ちます。本技術はインフラや都市開発(スマートシティー)、さらにはガスを使用する太陽光利用型・植物工場などにも利用できます。

供給されるガス異常の発生原因は、古いパイプの構造的な不具合や道路工事、悪天候によるパイプの凍結、ひび割れによるパイプ内への水の流入など、多岐にわたります。

このような異常の際には、メンテナンススタッフを送り込み、影響を受ける範囲を特定して修繕を行う必要がありますが、その場合、消費者側に大きな混乱を招く可能性があります。異常の原因を特定する作業には従来、高価な機材や、メンテナンススタッフの試行錯誤による作業が必要なためです。

Braveridgeの遠隔管理システムではこの作業プロセスが大幅に軽減され、従来よりも短い時間でガス異常を解決することが可能になります。


運用においては、ガス管網全体の適切な箇所に複数の端末を設置します。各端末には、温湿度センサーで露点(水蒸気が凝縮して水滴を形成し始める気温)を監視し、ガス管内への水の侵入や浸潤の可能性を通知します。

さらに各端末でガス管の内圧と外圧を2個の圧力センサーで測定し、その差圧(ゲージ圧)から適切なガス圧の監視と記録をしています。


また、各端末にはLTE-M 接続機能を持つnRF9160 SiPを搭載し、取得したデータをセルラーネットワークを介してBraveridgeのBraveGATE クラウドサービスを経由し、Webサーバーがデータを取得します。
Webサーバーとアプリでガス事業社がデータを確認し、ガス異常の発生箇所を特定し、へメンテナンススタッフを送り込みます。

nRF9160 SiPに搭載されているGPSより提供される正確な位置情報によりガス異常の可能性がある箇所をピンポイントで特定可能です。

またLTE-M セルラー接続に対応し、GPS位置情報の要求への迅速な応答を可能にするだけでなく、nRF9160 SiPに搭載された64-MHz Arm(R) Cortex(R)-M33 プロセッサと1MBのFlashおよび256KB RAMにより、複数のセンサーから要求される複雑な独自のアルゴリズムのエッジ処理も実行し十分な計算能力も確保します。


「ガス導管内露点・圧力遠隔センサー」の電源はCR123リチウム電池2個で、nRF9160 SiPが低消費電力であることもあり、電池寿命は約6か月以上です。

nRF9160 SiPは低消費電力での運用に最適化されており、PSMおよびeDRXの省電力モードに対応しています。たとえば、12時間ごとに1kBをアップロードするPSMモードでの平均電流は5.5μA、スリープモードでの平均電流は最大で2μAです。

nRF9160 SiPの対象用途としては、アセット・トラッキングやスマートシティ、スマート農業、インダストリアル、スマートメーター、ウェアラブル、医療などがあげられます。