田植え機などの農機メーカーである、みのる産業<売上高:63億6800万円(2009年9月期)>は、農機の売上高がこの30年余りで4割減となる中で、本業の技術力を生かした新規事業で長期的な収益安定を目指すため、シイタケ栽培や壁面緑化事業に取り組んでいる。
シイタケ栽培では、兵庫県豊岡市の廃校となった中学校を転用した但東工場を2007年11月に稼働させ、おがくずと栄養剤を固めたものに菌を植える菌床栽培を採用。セ氏20?22度で100日間培養した後、18日間の収穫と10日間の休養を最大で4回繰り返しながら栽培している。<シイタケ事業部について>
かつての体育館や教室を、培養室や収穫のための発生室として活用しており、約30人で年間25万個の菌床を培養し、シイタケ180トンを出荷している(2010年9月期は1億5000万円の売上を見込んでいる)。植物工場のように、空調や栽培環境管理を行いながら、現在は兵庫および大阪などの関西方面へ一年中、出荷している(広義の意味ではキノコ類も植物工場に含まれる)。もちろん、無農薬栽培にて安全・安心な食材を実現。
シイタケ生産に取り組むために、事業部を設立したキッカケはシイタケ栽培向けの捕虫器の開発だった、という。森林総合研究所、徳島県、群馬県、千葉県、山口県、カモ井加工紙(株)、みのる産業(株)にて、ナガマドキノコバエの生態を研究し開発したもので、紫外線LEDにて虫を誘引し、ゼリー状のエサや捕虫シートにて捕獲するもの。
LED誘引捕虫器「LEDキャッチャー」
「LEDキャッチャー」は乾電池式・防滴仕様により、菌床の近くに置けるため効果的に捕獲可能。設置台数の目安は、20?(6坪)に1台程。商品の詳細はこちら
こうした製品を開発するために、シイタケ栽培の研究を始めたところに今の工場の売却情報が入り買い取った、というのが参入の経緯である。シイタケは大きさがまちまちで収穫の機械化が難しいため、エノキダケやシメジ栽培のような大手企業が少ない。中国産シイタケの残留農薬問題による国産シフトの追い風もあり参入を決めた。今の課題は効率的な栽培法の確立とスーパーや外食産業との直接取引の拡大であり、今後はシイタケ以外の農作物の生産も視野に入れているという。
日本国内の植物工場ビジネスについては、調査レポート:植物工場ビジネスの将来性『植物工場の6割赤字/収支均衡3割の現状を打破するためには』 に掲載しておりますので、参考にして頂ければ幸いです。