酪農・畜産向けIoTソリューションを提供する株式会社ファームノートは、ソニーエンジニアリング株式会社が開発・製造を行う、肥育牛の起立困難状を検知・通知するセンサーデバイス「うしらせ®︎」の資産譲渡契約を締結した。
■資産譲渡契約締結に至る背景
ソニーグループにて映像・音響・情報処理・通信機器等の開発を行うソニーエンジニアリングは、得意とする無線通信技術を活用し、肥育生産者が自社で管理育成をする肥育牛の起立困難による死亡事故を未然に防ぐための製品「うしらせ®︎」を開発・製造をしてまいりました。
ファームノートは生産性や働き方に社会課題を持つ酪農・畜産分野へのIoT導入の先駆けとして、新規就農者の育成支援や熟練者の勘の可視化、業務効率の飛躍的な改善、牛の健康を一括管理する画期的なシステムを開発・提供をしてまいりました。
今回「うしらせ®︎」の事業主体をソニーエンジニアリングからファームノートへと移管することで、「うしらせ®︎」の更なる育成と幅広い肥育生産者への販売およびサービス提供を行っていくという狙いから、このたび資産譲渡契約を締結いたしました。
ソニーエンジニアリングにて蓄積した開発資産とノウハウはファームノートへと引き継がれ、現在「うしらせ®︎」をご利用いただいている全てのお客様には、引き続きサービスをご提供するとともに、これまで以上の価値提供とサービスレベルの向上を目指してまいります。
■肥育業界を取り巻く課題
肥育後期において牛が横になった状態から起き上がれなくなることがあり、その起立困難な状態のまま放置すると肺が圧迫され、牛が窒息死をしてしまうことがあります。
肥育牛の起立困難による死亡事故は年間1~2%程度発生するといわれ、1頭あたりの損害額は約100万円にのぼることから生産者にとっては大きな課題と認識されています。
また現状では事故を防ぐために牛舎の見回り等で対応している生産者も多く、夜間の牛舎巡回は肉体的にも精神的にも負担が大きいことから、労働生産性を下げる要因となっています。
■「うしらせ®︎」製品概要
牛の顎に装着するセンサーデバイスがその牛の横臥状態を検知し、牛舎内に設置する基地局を介してクラウドシステムに情報を送信。
起立困難状態の発生時に、お客様のスマートフォンアプリへ警告を通知するものです。研究にあたっては、JA全農(全国農業協同組合連合会)の協力のもと、農場での実証実験等を繰り返し行い、検知精度を検証。
牛の起立困難検知に特化したセンサーデバイスとして2018年4月よりソニーエンジニアリングが提供している製品です。
牛が一定時間の横臥状態に陥ると、お客様のスマートフォンにインストールしたアプリが警告音を発し、警告画面を表示します。
起立困難状態が解消すると解消状態も通知され、牛舎から離れている夜間や外出先でも事故の見逃しを減らす対策が可能となります。
Editor's Picks
-
田んぼに浮かぶホテルがコンセプト、スイデンテラスがリニューアルオープン
-
緑演舎による造園家がプロデュースする個人住宅向け「GARDENNERS HOUSE」事業をスタート
-
ミラノ都市部で自然に囲まれたオフィス空間を実現。ハイテク企業や研究者のハブ施設へリニューアル
-
シンガポールの高層住宅タワーをリニューアル。屋上には住民参加型の菜園も整備
-
メルボルンに駐車場スペースを活用した屋上農園「スカイファーム」が来年に完成
-
台湾の青果市場、屋上に農場を導入した最新施設として2020年に完成予定
-
ロンドン、屋上に植物工場ファームを併設した地元フードコート施設を開設
-
UAEの陸上養殖ベンチャー『Fish Farm社』サーモンなどの魚を本格販売へ
-
カナダの大学が連携。クリーン・エネルギー技術を活用した『高層タワー型の植物工場』を計画
-
海面上昇の対策、海洋に浮かぶ街「フローティング・シティ」食料やエネルギーの自給自足を実現