東レ建設株式会社と株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)などは、地域住民が参加する「シェアリング農業」の実証事業を2017年9月1日より開始する。
農業が初めての方や高齢者、女性でも容易に作業ができる東レ建設の高床式砂栽培農業施設「トレファーム(R)」を活用し、栽培環境や作業状態等の各種データを収集するIoT技術を合わせることで、様々な方々のライフスタイルや体力と必要な農作業をマッチングして短時間からでも農作業に携わることを可能にします。
なお、本実証事業は、総務省の「平成28年度補正予算IoTサービス創出支援事業」の委託事業です。
■高床式砂栽培農業施設“トレファーム(R)”とは
東レ建設の高床式砂栽培農業施設“トレファーム(R)”は、高床式のベッドにて砂を培地とし液肥で野菜を栽培する施設です。砂の軽い質感と腰をかがめない作業姿勢によって、農作業が軽労となり農機具も必要としない安全・安心な農法です。
そのため障がい者の就労支援施設(*2)や、UR都市機構の団地再生事業(*3)などで導入されています。
また、軽労・安全・安心な“トレファーム(R)”は、高齢者の方々に「緩やかな就労」の機会を提供できる就農施設として、政府が提唱する健康寿命延伸に資する施設としても期待されています。
■けいはんな学研都市での実証内容
実証事業は、けいはんな学研都市(京都府精華町)、大阪府四条畷市、千葉県君津市の3カ所で行います。実証の中核拠点がけいはんな学研都市のATRです。東レ建設の実証農園「トレファームラボ」が8月30日(水)、ATRの施設内で開園します。
1)実証期間
2017年9月から2018年2月まで。
2)参加いただく実証サポーター
けいはんな学研都市(精華町等)や周辺の地域住民の方々約50人。
3)実証目的
軽労・安全・安心な高床式砂栽培農業施設“トレファーム(R)”にIoTシステム(以下「システム」)を活用することで、働くことを躊躇しあきらめていた女性や高齢者、療養中の方等にも、地域で無理なく働ける機会を提供できる「シェアリング農業」を実現すること。
4)実証概要
[1]栽培環境データ(温度・湿度・灌水等)と作業状態データ(作業に関する嗜好性や身体的負担等)を収集し、圃場管理や作業者の招集がインターネットを介して統合的に行われるシステムを構築する。
[2]サポーター(作業者)が予めシステムに入力した希望作業時間・内容と農園主の栽培計画とをシステムがマッチングさせ、自動的にサポーターへ招集メールを発信する。
[3]東レ株式会社のウェアラブルセンサー「hitoe(R)」から得られた作業時のバイタルデータは、サポーターが参照してより適切な作業の選択に役立てられる。
[4]灌水の不足やサポーターの体調など、異常を感知すると、システムは農園主に自動で異常メッセージを発信する。
[5]農園の画像や環境データ、また、サポーターの感想や意見等をシステム上で農園主とサポーターがリアルタイムに共有化し、農園の「見える化」を図る。
本事業について
東レ建設株式会社、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、株式会社グリーンファーム、株式会社シスコ、東レ株式会社、東京農業大学、大阪市立大学、一般社団法人日本砂栽培協会、株式会社グリーンファームかずさから成るコンソーシアムで「地域雇用創出を実現する“シェアリング農業”モデルの構築」を実施する。
*2:株式会社グリーンファームが運営する障がい者の就労支援施設「私の太陽農園」等。
*3:東レ建設がUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)と連携し、2016年に福岡県宗像市の日の里団地に「団地の農場 日の里ファーム」を開設。地域活性化や多世代交流の場として注目された。
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