ソフトバンクグループ傘下のPSソリューションズ株式会社とコロンビアにある国際熱帯農業センター(CIAT)は、可視化した農業データから栽培手法や知見を共有する農業IoTソリューション「e-kakashi」の実証実験を現地コロンビアで開始した。
e-kakashiのコロンビアへの導入に際しては、IoT分野を成長事業の一つとして注力する株式会社日立製作所が、PSソリューションズの開発パートナーとして、現地農業フィールドに適したセンサーネットワークやクラウド環境の提供などトータルに支援しました。
現在、コロンビアでは、コメの1人あたりの年間消費量が40kgを超え、一年生作物で同国最大の栽培面積を占める重要作物となっています。
コロンビア国内でのコメの需要が高まる一方、気候変動などの影響や、灌漑水・施肥成分の利用効率が低いことによる生産コストの高さにより、作付け面積、収量が伸び悩み、コメ消費の自給率に課題を抱えています。
コロンビアでは、2012年に発効された米国との自由貿易協定(FTA)により現在80%の関税が段階的に撤廃され、2030年には米国産コメの完全輸入自由化が始まります。
輸入米増加に伴う国内でのコメ生産の縮小を防ぎ、国際競争力のある持続可能な農業を確立することが求められています。
こうした背景から、CIATとPSソリューションズは日本の先端農業IoT技術を活用した精密な栽培管理による生産性の向上を実現すべく、現地での実証実験を開始しました。
国際熱帯農業センター(CIAT)
本プロジェクトにおけるCIATの役割は、主に新品種の開発ですが、センターとしてEco-Efficient Agricultureを掲げており、プロジェクトを通じて、開発された新品種の導入と省資源型稲作の実現による生産性の向上をめざしています。
この度の実証実験で、「e-kakashi」を海外で初めてコロンビアに導入し、灌漑・施肥、また作業管理の低減や精密な栽培管理のためのモニタリングを始めました。
将来的にはコロンビアの異なる栽培環境(カリ地方、イバゲ地方、サルダーニャ地方など)において信頼できるデータの収集と、アプリケーションの開発等を進めることで、投資を促し、農業のIoT化をコロンビア政府、稲作生産者組合(FEDEARROZ)および農家単位で促進させることを目標としています。
CIATに関するWebサイト>https://ciat.cgiar.org/
※日本とコロンビアの研究機関による国際共同研究プロジェクトについて
コロンビアの稲作は、水田の灌漑基盤が不十分で水や肥料の利用効率が低く、加えて田面の水深が一定せず雑草の抑制が困難であることなどから、生産性が低下しています。
さらに、近年では気候変動の影響や貿易の自由化により農業を取り巻く環境が大きく変化している中で、自国の食糧安全保障を確保し、国際競争力のある持続可能な農業の実現が求められています。
この現状を打開するために、日本とコロンビアの研究機関による国際共同研究プロジェクト(科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)の出資によるSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム:http://www.jst.go.jp/global/index.html)が2014年に始まりました。
このプロジェクトでは、改良根系を持つ節水・節肥料型イネ新品種を開発するとともに、先端的なフィールド管理技術を導入し栽培環境に適応させた省資源型稲作システムを構築しコロンビア及びその他の南米諸国に普及・定着させることをめざしています。
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