矢野経済研究所が国内におけるスマート農業に関する調査結果を発表、2015年度の市場規模は97億2,400万円と推計

 矢野経済研究所が、2016年7月~9月の期間でスマート農業参入事業者、農業法人、関連団体・協会、管轄官庁等を対象に国内におけるスマート農業について調査を実施した。

 本調査におけるスマート農業とは、従来からの農業技術とロボット技術やICT等の先端技術を連携させることで、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業であり、農業の生産から販売まで先端技術を活用し、高い農業生産性やコスト削減、食の安全性や労働の安全等を実現するものである。

 本調査におけるスマート農業市場規模は、[1]栽培支援ソリューション(農業クラウド、複合環境制御装置、畜産向け生産支援ソリューション)、[2]販売支援ソリューション、[3]経営支援ソリューション、[4]精密農業(GPSガイダンスシステム、自動操舵装置、車両型ロボットシステム)、[5]農業用ロボットを対象として算出した。なお、国内市場を対象とし、市場規模には農業向けPOSシステム、農機、農業用ドローン等は含まれていない。

調査結果:2015年度のスマート農業の国内市場規模は97億2,400万円と推計
内訳をみると、栽培支援ソリューションが30億6,700万円(栽培支援ソリューションの内訳:農業クラウド11億2,500万円、複合環境制御装置14億2,500万円、畜産向け生産支援ソリューション5億1,700万円)と全体の約3割を占め、販売支援ソリューションが9億7,300万円、経営支援ソリューションが25億6,300万円、精密農業が29億500万円(精密農業の内訳:GPSガイダンスシステム10億500万円、自動操舵装置19億円)、農業用ロボットが2億1,700万円であった。

 スマート農業の国内市場は、2017年度頃まで栽培支援ソリューションが中心となり、2018年度以降は、販売支援ソリューションや経営支援ソリューションが拡大する見通しである。その後、農機の無人運転を実現する精密農業が普及する見込みで、2022年度の同市場規模は331億8,600万円まで拡大すると予測する。