韓国LGグループによる約350億円の巨大農業パークが中止。地元農家からの大きな反発が原因

 製造工場の自動化・知能化などを進める韓国LGグループのLG CNS社は、約350億円の巨大資金を投じてスマート・バイオパークと呼ばれる植物工場をはじめとする最先端農業の複合施設を建設する計画を発表していたが(参考記事)、本事業の公式な撤回を表明した。
以下、関連記事の一部を掲載しておく。

韓国 LG「スマートファーム」事業計画の撤回を公式に発表

 韓国の大手企業LGグループの情報技術(IT)系列会社であるLG CNS社が、今月21日これまで進めてきたスマートファーム計画「セマングム・バイオパーク・プロジェクト」の公式撤回を表明した。

このプロジェクトは、今年7月初めにLG CNS社が発表した事業計画で、韓国最大の干拓地である全羅北道(チョンラブッド)セマングムの産業団地に情報通信技術(ICT)を活用した大規模なスマートファームを設けるというもの。スマートファームとは、肥料、水、土壌など「農業インフラ」を遠隔自動制御できる技術を備えた農場のことである。

 LGグループは同プロジェクトに向けて、3800億ウォン(約350億円)にもなる資金を投入し、およそ76ヘクタールに及ぶ広大な敷地にハイテク栽培施設や植物工場、研究開発施設、加工工場、流通施設などを建設し、2018年の稼働開始を目指していた。

 しかし、地元農家の間では「大手企業の農業参入」として、当初より非常に反発が強かった。なぜならば、LGグループの大規模な農業生産によって、地元農家の生計が脅かされると危惧していたためだ。

 これにちなんでLG側は、事業計画に加え、国内マーケットでの競争は避けるため、地元農家の利益を阻害することはないという点や、あくまでも農家とwin-winな関係であると主張してきた。さらにはスマートファームを運営する上での、さまざまな条件も付け加えた。例えば、作物の栽培は全て既存の農家に任せる点や、スマートファームで栽培された作物は全て輸出する、などというものだ。

 その後も、農家を説得するための説明会が幾度と開かれたが、農家の反発をおさえることはできなかった。やがて地元農家たちは、共同対策委員会(共対委)を構成してプロジェクトの中断を要求し、全羅北道議会もまた「LGの農業への進出を阻止する決議案」を通過させた。

状況が予想以上に困難を極め、プロジェクトに投資を申し出た海外企業も「待った」をかける始末。当初より農家たちを説得できると自信を示していたLG側も、さすがにプロジェクトの全面白紙化を検討せざるを得なくなった。

詳細記事: 韓国LG「スマートファーム」事業計画の撤回を公式に発表

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