ハウス栽培の温度調整に使う重油が値上がりし、採算割れを嫌う農家が生産をやめるケースが相次いだためだ。供給量の減少で卸値は値上がりし、家庭の食卓の負担も大きくなっている。 東京都中央卸売市場によると、5月第2週(7〜10日)の野菜の卸値は、前年同期に比べてトマトが58%、ピーマンが51%上昇した。果物も、プリンスメロンが50%、ブドウが22%値上がりし、ハウス栽培ものが全般に高値傾向にある。 きっかけは、秋から冬場にかけての重油価格の上昇だ。ハウス栽培でもっとも燃料を使う2月のA重油(小型ローリー)の価格は、高値水準にあった前年同月よりもさらに1割近く上がり、農家の経営を圧迫。コスト高による採算割れを予想した農家が作付けをやめたり、生産量を減らしたりし、現在の卸値の上昇につながっている。 メロンの生産者でつくる静岡県温室農業協同組合は「組合員約580人のうち、100人程度が生産をやめるなどした」、結果として出荷量は前年比約2割減る見込み。ブドウの「巨峰」の出荷を始めたJA全農長野も「売価が保証されない中で、生産費の大部分を占める重油の高騰は厳しい。8月までの出荷量は1〜2割減る」という。 JAさがは「生産者がヒートポンプ(電気を使う空調)を導入したり、ビニールを重ねて保温効果を上げたりして対応した」が、今後は電気代の値上がりも予想される。都内の青果卸会社は「1〜2月の天候不順も重なったが、重油高は直接の燃料費だけでなく、ビニール資材などの値上がりにもつながるため、生産者への影響が大きい」と指摘する。独立行政法人・農畜産業振興機構は「加温の必要がない夏場にかけては価格への影響は小さくなる」としながらも、「原油高が続けば、作付けをしない農家が一層拡大する」と影響の長期化を心配する。<参考:産経ニュース> ]]>
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