営農型太陽光発電のコンサルティング、開発を手掛けるノータス株式会社は、3次元追尾式・太陽光発電架台特許技術を用いて製造した日本初の営農型太陽光発電専用架台「ノータス架台」の実証実験プラントが滋賀県竜王町に完成させた。
ノータス架台は、ノータス株式会社による、農業とソーラー(太陽光発電)を完全両立させた再生可能エネルギー事業「ノータスソーラー」の中核となる製品で、3次元追尾式太陽光発電架台技術「アグロボルタイコ」を用いて開発されました。
同技術を保有するイタリアのREMTEC社から日本国内での独占製造販売権を取得したノータスソーラー株式会社(高橋個人が所有)が製造し、独占販売契約を締結するノータス株式会社が販売します。
ノータスソーラー事業では農地上にノータス架台を設置しますが、設置に必要な農地一時転用許可の手続きをサポートする開発アドバイザリーおよびパネルの下部で栽培を支援する営農アドバイザリー等を含めた総合的なコンサルティングも併せて提供しています。
これらの取り組みは実証実験プラント設置に先行して2019年より進めており、既に国内で1,000kWの受注と50MW以上の開発相談を受けています。
■ノータス架台の特長
▼営農に特化した大きな空間設計
業界トップクラスの営農空間(幅12m、高さ4m、奥行き12m)の広さで、栽培作物の制限がほぼなく、大型農機も利用可能です。
▼太陽の動きを追尾する高い発電力
太陽の位置を検知する3次元追尾機能により、太陽光パネルを最適な角度で太陽に向けて発電することが可能です。これにより、固定型と比べて146%の高い発電効率(2019年イタリア)を実現しました。
▼農作物の発育を阻害させないシャドーコントロール
万が一農作物の発育に影響が出るようなことが起きた場合、太陽光パネルを駆動して角度を変えることで、パネルが作る影を最小限にし、日陰の影響を無くすことが可能です。
▼優れた耐風特性
強風時や積雪時には、太陽光パネルの向きが自動的にセーフティーポジション(強風時には水平、積雪時には垂直)となり災害を回避します。
■背景
ノータス株式会社がノータスソーラー事業に取り組む背景として、現在の再生可能エネルギーおよび農業の置かれた環境が挙げられます。
国内の太陽光発電市場は、再生可能エネルギー普及を目的とした固定価格買取制度(FIT制度)に支えられて2012年以降拡大を続け、FIT制度開始後に新たに運転を開始した再生可能エネルギー発電設備容量のうち、約94%(FIT認定容量の約81%)を太陽光発電が占めるまでとなりました。
ただ、この結果、メガソーラー級の大規模太陽光発電設備に適した用地の約8割が開発済みとなり(※)、政府が2050年に向けて進める再生可能エネルギーの普及拡大の多くを担う太陽光発電にとって、今後の用地不足が大きな課題になっています。
このような中で、農地を利用する営農型太陽光発電への注目が高まってきました。営農型を促進する農地関連法制度の整備が進み、2013年に太陽光パネルの支柱基礎が農地一時転用許可対象となり、農地上空での太陽光発電が可能となった後、2018年には一時転用許可の期間が条件付きで3年から10年に変更されました。
こうして、広大な農地308万ha(耕作地278万ha+耕作放棄地30万ha)の活用が期待されるようになっています。
しかし、従来の営農型架台は、パネルの影や農機の利用制限など、営農に対する負担の大きさが問題となり、期待された開発規模を大幅に下回っている状況です。
長年、農業生産法人や農業流通企画を通じて農業の実態に接してきた当社代表の高橋は、農地ポテンシャルを最大限に引き出す営農型太陽光発電として重要なのは、生産作物の制限がなく大型農機も利用可能にする架台の技術的ブレイクスルーと農地利用特有の複雑な許認可等をサポートすることであると考え、特許技術の取得・活用とサポート体制の充実を図りながら、同時に、国内での発電効率データ等の取得および発電事業者への稼働性能プレゼンテーションに重要な実証実験プラントの建設を進めてきました。
※公表されている統計データ等より当社推計
■今後の展望
政府は、2030年のエネルギーミックス水準として、再生可能エネルギーの電源構成比率22~24%を目標とし(2017年16%)、2050年には「温室効果ガス80%削減」のための「低炭素化」「エネルギー転換」において、再生可能エネルギーの主力電源化を目指しています。
民間レベルでは、自然エネルギー100%を推進する国際ビジネスイニシアティブ「RE100」へ賛同するグローバル企業が増え続け、企業への投資では環境等に配慮する持続可能な経営が重視されるようになっています。
ノータス株式会社は、自家消費を中心に国内RE100企業及び経団連の「チャレンジ・ゼロ宣言」に参加する企業と業界団体を主な開発ターゲットとして、ノータスソーラー事業を推進していきます。
Editor's Picks
-
田んぼに浮かぶホテルがコンセプト、スイデンテラスがリニューアルオープン
-
緑演舎による造園家がプロデュースする個人住宅向け「GARDENNERS HOUSE」事業をスタート
-
ミラノ都市部で自然に囲まれたオフィス空間を実現。ハイテク企業や研究者のハブ施設へリニューアル
-
シンガポールの高層住宅タワーをリニューアル。屋上には住民参加型の菜園も整備
-
メルボルンに駐車場スペースを活用した屋上農園「スカイファーム」が来年に完成
-
台湾の青果市場、屋上に農場を導入した最新施設として2020年に完成予定
-
ロンドン、屋上に植物工場ファームを併設した地元フードコート施設を開設
-
UAEの陸上養殖ベンチャー『Fish Farm社』サーモンなどの魚を本格販売へ
-
カナダの大学が連携。クリーン・エネルギー技術を活用した『高層タワー型の植物工場』を計画
-
海面上昇の対策、海洋に浮かぶ街「フローティング・シティ」食料やエネルギーの自給自足を実現