以前の記事では、長野県での農業・植物工場分野への参入企業が増えていることを記載したが、富山県内でも参入数が増加しているようだ。北陸農政局によると、北陸3県内の植物工場は現時点で7カ所で、このうち4カ所は富山県に立地しており、スマイルリーフスピカや運輸業の福光運輸、電子部品を製造・加工する富山高槻電器工業などがある。
スマイルリーフスピカは昨年から生産を開始し、野菜価格が高騰した今年夏には生産量を拡大させている。富山高槻電器工業は、今春に半導体加工を手掛ける本社工場の空きスペースを改装して、延べ床面積約600平方メートルの植物工場を設置。葉物野菜のアイスプラントなどを無農薬の水耕栽培で生産している。また同社では、販売子会社として(株)植物工場を設立した。
運輸業の福光運輸は富山大学と海洋深層水を使った栽培実験に乗り出している。同社では、南砺市の自社倉庫を植物工場に改装し、海洋深層水を使ったアイスプラントの育成実験を始めている。事業性を見極めて来年にも本格的な生産を始めたい考えである。
一方、京都でも植物工場事業の産学連携プロジェクトがスタートした。京都府立大と府立医科大を運営する京都府公立大学法人は、経営難で昨年閉園した植物公園「花空間けいはんな」を再利用し、鉄筋コンクリート建ての旧イベント会場(約1200平方メートル)を植物工場として運営する計画である。
予算は約3億円で、国や京都府の補助金などで賄う予定であり、府立大農学生命科学科などの職員と企業側の研究者が共同で使う研究室なども整備するとともに、京都、大阪、奈良の関連企業との共同研究を進めていくようだ(今年秋ごろに着工し、来年4月のオープンを目指す)。今後は単なる葉野菜ではなく、新たな市場拡大が見込める作物の選択・技術の確立が必要となるだろう。