愛知県農業総合試験場、水耕栽培にて多発する高温性ピシウム属菌の検出キットを開発

 愛知県農業総合試験場は「養液栽培における高温性水媒伝染病害の安全性診断マニュアルの策定」共同研究グループに参加し、水耕栽培施設等で繰り返し発生し被害をもたらす、高温性ピシウム属菌を簡易に検出できる技術を開発した。この技術を用いた、3種類の「高温性ピシウム属菌プライマーセット」が、7月17日に株式会社ニッポンジーンから販売される。

愛知県農業総合試験場、水耕栽培にて多発する高温性ピシウム属菌の検出キットを開発

高温性ピシウム属菌プライマーセットの1例

野菜・花き類の水耕栽培では、夏季高温期に高温性ピシウム病の発生が近年増加しています。原因菌である3種類の高温性ピシウム属菌は、水耕液を介して瞬く間に施設全体に広がるため、発見が遅れると防除が難しくなります。早急な対策をとるためには、水耕液内の病原菌を予防的に検出することが有効です。

病原菌の検出は、土や水・植物から病原菌を分離・培養し、菌糸等の形態の観察や、培養温度への反応を調べることなどによって行いますが、労力や時間がかかり、専門知識も必要となるため、4〜5日間が必要でした。

そこで、当研究グループは、DNA増幅法のひとつであるLAMP法を用い、高温性ピシウム属菌の簡易検出法を開発しました。この方法を利用すれば、およそ1時間で3種類の高温性ピシウム属菌のうち、どの病原菌が感染しているかを検出することが可能です。

(1)高温性ピシウム病の原因菌である3種のピシウム菌は、土壌や用水などに生息しています。この菌に感染すると植物の根が腐敗するため、生育不良となり、進行すると枯死します。野菜(トマト、ミツバ、ネギなど)や花き(切りバラ、ポインセチアなど)で被害例が報告されています。

(2)高温性ピシウム属菌は40℃以上で生育でき、35℃前後が生育最適温度です。高温性ピシウム病は35℃前後で激しく発病します。

詳細URL: http://www.pref.aichi.jp/0000081877.html