株式会社ユーグレナは、小橋工業株式会社と微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)を用いた肥料の研究開発を共同で実施し、ユーグレナを用いて作製した肥料が植物の生育に有用な効果を示唆する研究結果を確認した。
また、ユーグレナを用いて作製した培養土を開発し、テスト販売を開始する。
■背景
当社はこれまで、ユーグレナの生物上の特徴に着目し、ユーグレナの添加によって微生物の増殖促進と活性化に利活用できるかを検証してきました。特に、土に含まれる植物の育成に必要な栄養素は、土中の微生物によって植物が利用できる形まで分解されて初めて植物の生育に寄与する構造となっています。
このような植物の育成の構造に対して、ユーグレナは多様な栄養成分を含んでいるだけでなく、細胞壁がないという特徴から他の植物と比べて微生物による分解速度が早いため、ユーグレナの添加によって微生物の増殖促進と活性化の効果が期待されていす。
また、微生物の増殖促進と活性化に関連する研究開発としては、当社はこれまでユーグレナ粉末を麹菌に添加し食べさせることで麹菌を活性化し、麹菌の生成する酵素量が向上することを報告しています※1。
加えて、当社は内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)での“持続可能な循環型社会を実現する「農業環境エンジニアリングシステム」の開発”に構成員として参画し、ユーグレナ粉末が土壌や作物に与える影響を解析しております。
こうした実証研究をもとに当社では、ユーグレナを堆肥や培養土に加えることで、植物の生育に有用な効果がみられる可能性を検証してきました。
※1 2018年7月12日リリース https://www.euglena.jp/news/180712/
ユーグレナを用いた堆肥・培養土に関する研究成果について
■研究内容と結果
ユーグレナを添加し熟成させた堆肥で作製した培養土(以下、ユーグレナ培養土)とユーグレナを含まない培養土(以下、対照区)で、コマツナおよびミニニンジンの栽培を行いました。
その結果、幼植物試験※2および植害試験において、ユーグレナ培養土で栽培したコマツナでは、対照区と比較して根長や地上部長(根よりも上の部分)の伸長が確認されました(図2、3)。
また、ミニニンジンを用いた生育試験では、対照区と比較し、ユーグレナ培養土において根張りが良くなることが示唆されました(図4)。さらに、ユーグレナ培養土を作製する工程での地温を検証する実験において、ユーグレナ培養土は対照区と比較して著しい地温の上昇が確認され、ユーグレナ添加による土中微生物の活性化も確認されました。
※2 幼植物試験とは一般的にコマツナで行われる発芽から3日~3週間での成長を観察する試験のこと
以上のことから、ユーグレナを用いた堆肥・培養土の植物への影響として、根張りの向上などが期待できる結果が得られ、植物の生育に有用な効果が示唆されたため、ユーグレナ培養土のテスト販売に至りました。
ユーグレナを用いた堆肥・培養土で育てた作物において、土中のユーグレナ添加量との作物の可食部に含まれる抗酸化作用※3を持つエルゴチオネインなどの抗酸化物質の量に相関のある結果がみられています。
今後はユーグレナを用いた堆肥・培養土を使用することによる、作物の可食部での抗酸化物質量の増加の可能性について検討を進めていきます。
今回のユーグレナ培養土のテスト販売は、バイオマスの5Fの内、Fertilizer(肥料)にあたり、ユーグレナ有機液肥※4と共に今後も肥料の可能性について研究を進めてまいります。
※3 抗酸化作用は酸素の一部が変化した活性酸素による有害な反応を減弱または除去する働き。酸化力の高い活性酸素が体内で過度に作用して遺伝子やタンパク質を傷つけ、酸化ストレスが蓄積していくと、老化の促進や疾患のリスクが高まるとされている
※4 2020年7月6日リリース https://www.euglena.jp/news/20200706-3/
「ユーグレナの培養土」のテスト販売について
■商品詳細
商品名:ユーグレナの培養土
内容量:14L (充填時容量)
寸法 :寸法・重量:35×55×10 (cm)、4.5~5.5 kg 程度(含水状態により若干の差があります。)
価格 :オープン価格
■販売
・通販サイト ユーグレナ・オンラインAmazon店 https://www.amazon.co.jp/dp/B08BL3VN13
・店舗 佐賀県内 ダムの駅 富士 シャクナゲの里 http://shakunage-s.com/
■商品特性
・バーク堆肥を原料にユーグレナを加えた培養土です。
・ユーグレナ培養土はユーグレナ粉末の効果により野菜から花まで広い範囲で良好で丈夫な生育が期待できる高機能培養土です。嫌な強い匂いがなくふわふわした形状の培養土であるため、室内の家庭菜園でもご気軽にお使いいただけます。
・培養土および使用堆肥について幼植物試験、毒性試験により安全性を確認(全植物の生育を担保するものではありません。)
・使用堆肥は普通肥料登録済みです。
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