JA西都・KDDIなど、燃料配送の効率化と農作物育成のため「IoT重油燃料監視」システムを導入

 西都農業協同組合(JA西都)、宮崎県経済連、有限会社三浦工業、KDDI株式会社などは、国内の第一次産業で初となる(注)、セルラーLPWA(LTE-M)を用いたIoT重油燃料監視システムのサービス提供と運用を2019年11月19日より開始した。

JA西都・KDDIなど、燃料配送の効率化と農作物育成のため「IoT重油燃料監視」システムを導入
ビニールハウスの温度管理を必要とする農業者では、温度管理に必要な燃料を備蓄するタンクを最低でも1日1回目視で確認し、燃料残量が少なくなった際は、農業者の大半は電話でJAに燃料の配送を依頼しています。

従来の確認方法では、燃料残量の確認漏れにより燃料枯渇が発生しビニールハウスの適切な温度管理ができなくなった場合には、農作物の育成への影響が出るというリスクがありました。

また、JAにおいては、いつどこで燃料切れが発生するかの予測ができないため、配送ルートを事前に定めることができず、配送効率の向上が困難なことも喫緊の課題でした。


これらの課題の解決にむけて、六者は2017年1月から本システムの開発に取り組んできました。本システムを導入することにより、圧力センサーで測定されたタンク内の燃料の残量データをLTE-M対応の省電力なIoTデバイスにてクラウドにデータ転送することで見える化をします。

画面上で全タンクの残量が一元的に把握できるほか、一定の閾値を下回った場合には、JAの管理者および農業者へ自動メールで注意喚起がされるため、JA西都はそのデータをもとに配送が可能となります。

これにより、農業者による燃料の残量確認の手間を省き、燃料枯渇による作物への影響を軽減することが可能となります。また、JAでは燃料残量を把握し、一元管理することができるため、農業者から連絡を受ける前に最適なタイミングで配送し、無駄のないルート配送および効率的な人員配置を実現できます。

さらに、本システムは、台風などの天災によるタンク破損や燃料流出などの影響を把握し、迅速な対応を取るなど災害対策にも応用が可能です。

また、本システムのさらなる向上にむけて開発を継続し、将来的には、宮崎県経済連とJA西都が各農業者のハウス施設データを本システムのクラウド上で一元的に管理することにより、ビニールハウスの老朽化などの状況を常に把握し、強い農業基盤づくりに役立てていきます。


■参加企業・各社の役割
・JA西都:農業者への設備導入支援、システム導入
・宮崎県経済連:宮崎県内の各JAへの導入支援、県内外窓口
・三浦工業:宮崎県のタンクメーカー、本システムの圧力センサー設置業者、機器販売
・KDDI:通信回線・クラウド提供
・YSC:本システムのサービス提供、機器開発・販売・システム導入支援
・フジコントロールズ:圧力センサー開発・提供

注) LTE-Mを用いた重油燃料監視システムサービス開始が国内の第一次産業で初めて(KDDI調べ、2019年11月19日時点)