大日本印刷(DNP)は、食品包装の分野で長年培ったフィルム成膜技術とラミネート技術を応用し、光の反射性を高めるとともに、作物の育成に最適な水分を保持できる保湿性と、長期使用に求められる耐久性を備えた「DNP農業用フィルム(反射保湿フィルム)」を開発した。
既に実施した農業試験場でのトマト(品種:桃太郎)の栽培検証では、4月から7月までの初回の収穫で、他社の市販品と比較して約2倍の収量を得る事ができました。2015年春に販売を開始します。
【開発の背景】
野菜や果実の栽培には、雑草の繁茂防止や地温上昇の抑制、光の反射による作物の育成促進などを目的として各種農業用フィルムを使用しています。近年、露地栽培や施設園芸、植物工場などで、収穫率や糖度の向上のために、これまで多かった黒色のポリエチレン製フィルムに対して、表面が白色や銀色のフィルムを使用して反射機能を高めるケースが増えています。
ただ、表面が白色や銀色でも裏面が黒色のフィルムが多く、光の反射性が不十分でした。また、繊維を重ねあわせて結合した不織布タイプの高反射白色シートもありますが、これは水分の蒸発を防げないなど保湿性に課題がありました。
これらの課題を解決するためにDNPは、光の高い反射性を持ちながら、作物の育成に最適な水分を保持できる保湿性と、耐久性に優れた高反射・保湿フィルムを開発しました。
- DNP農業用フィルム(反射保湿フィルム)の概要
- 可視光の95%を反射する高反射タイプです。本フィルムの使用によって、露地栽培や施設園芸のビニールハウス、植物工場などでの光量不足を補い、光合成の効率的な促進を図ります。また、マンゴーなどの着色を促進する効果も高く、着色の色むらを防止します。
- 光による発熱を遮断し、地温の上昇を抑制します。
- 適度な保湿性によって、作物の育成に必要な水分を保持するとともに、散布した肥料の蒸発を防ぎます。
- 栽培育成用と通路反射用の2種類の製品があります。通路反射用製品は高反射と保湿性に加え、強度と通水性を高めています。