省エネ・環境循環型モデル都市開発区「曹妃甸(そうひでん)エコシティー」の緑化事業を熊本県山鹿市の有機肥料会社「ジェム」が担うことが分かった。同社は従業員30人と小規模だが、独自の有機肥料を使った土壌改良技術を中国が高く評価。塩害で植物が育ちにくい広大な開発区用地の緑化を託すことを決めた。 ジェム社は、同開発区(約310平方キロメートル)の中核となる「日中エコ工業パーク」(約60平方キロメートル)の進出第1号として、今年4月に有機肥料工場と研究棟を着工、試験農場も整備する。建設費は全て中国側が負担、6万6千平方メートルの用地もほぼ無償で提供を受けた。工場稼働は今秋の見込みで、道路脇の緑地帯や工場用地を緑化し、維持管理を行う。 当面は1日10−20トンの肥料を生産、同工業パークを中心に緑化する。生産が軌道に乗った段階で、事業対象を同開発区全体に広げる。現地合弁会社は20人程度でスタート。最終的に100人規模とし、年間1万2千トンの生産体制にする。有機肥料の核となる材料は、山鹿市の本社工場から輸出、現在約3億円のジェム社の売上高は3−4年後に100億円を超える見通しだ。 同社は1993年に設立し、独自に培養した微生物で米ぬかや魚粉を発酵させた有機肥料を開発。5年前、化学肥料に汚染され作物が育たなくなったブラジル・サンパウロのコーヒー園再生に成功。評判を知った中国側から要請を受け、塩で真っ白に覆われた曹妃甸地区でも効果を実証し、高い評価を受けた。 同開発区は、規模が巨大で各種インフラ整備が進んでおらず、中国政府の誘致にも大手日系企業は尻込みしている。25日の日中首脳会談で日本政府が同開発区の建設事業を全面支援する方針を示しており、中国側はジェム社の進出が他の日系企業進出の呼び水になることを期待している。同社・社長は「今後は緑化事業だけでなく、有機肥料を活用した農業指導にも力を入れ、中国に限らず、アジア諸国の助けとなっていきたい」と意気込んでいる。 ■ 「曹妃甸エコシティー」について 首都・北京から220キロ東にある河北省唐山市の沿岸部に位置する。既に1600億元(約2兆円)以上を投じ、約200平方キロメートルの浅瀬や干潟を埋め立てた。最終的な開発規模は、福岡市の面積に匹敵する約310平方キロメートルで、居住人口80万人を目指す。中国政府は「循環経済型モデル区」として、広東省深セン、上海市浦東に続く第3の成長エリアと位置付けている。そのうち60平方キロメートルを日中エコ工業パークとして整備、日本の環境関連企業の誘致を進めている。<参考:西日本新聞より> ]]>
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