清水建設など、復興支援事業・植物工場にて「サンゴ砂礫農法」を活用した高糖度トマトの実証試験へ

清水建設は、復興庁と経済産業省による補助制度「先端農業産業化システム実証事業」の事業の一つとして、「サンゴ砂礫農法」を採用した太陽光利用型植物工場にて、高糖度トマトの実証試験を開始する。栽培手法は明治大学が特許を持つ「サンゴ砂礫農法」を採用する、という。

「サンゴ砂礫農法」とは、サンゴの粉や砂を混ぜて土壌にする栽培法であり、耕作地の水分量の管理がしやすく、通常のトマトより糖度が5割ほど向上する、という。また収量増も見込まれる。
※ 写真 明治大学農学部農芸化学科ウェブサイトより

清水建設など、復興支援事業・植物工場にて「サンゴ砂礫農法」を活用した高糖度トマトの実証試験へ
同事業では、東日本大震災で被災した福島県相馬郡の農業法人「新地アグリグリーン」の農地、約3千平方メートルに太陽光利用型の植物工場を建設。一定規模で栽培することで「サンゴ砂礫農法」の効果を実証、生産方法の普及を図る。

収穫したトマトは全量を福島県などで展開するスーパー「ヨークベニマル」を通じ、県内を中心に販売する計画である。

高糖度トマトの大規模栽培・流通にチャレンジ
〜東日本大震災による被災農業法人の復興を支援〜

清水建設は、エンジニアリング事業の一環として、福島県相馬郡の農業法人である新地アグリグリーン、明治大学、流通大手の株式会社ヨークベニマルと連携して、高糖度トマトの大規模栽培・流通にチャレンジします。

この事業は、復興庁と経済産業省による本年度の中小企業経営支援等対策費補助金「先端農業産業化システム実証事業」に採択されたものです。軌道に乗れば、東日本大震災で被災した農業法人や農家の復興支援に寄与することができます。

計画では、10月中旬に(株)新地アグリグリーンの農作地内に、30アール規模の太陽光利用型植物工場を整備して、明治大学が取り組んでいる「サンゴ砂礫農法」による高糖度トマトの実証栽培に着手。来年早々にもヨークベニマルを通じて販売を開始する予定です。

当社は震災以前から、エンジニアリング力を活かして植物工場の建設計画の支援や山村などの地域振興に取り組んできました。その一環として、先端的な栽培システムや栽培技術を調査・検討し、かねてより明治大学が特許を保有するサンゴ砂礫農法に着目。これを活用した事業の可能性を模索していました。

そうした中、本年5月に復興庁と経済産業省が、被災地域の復興に資する先端的な農業システム(植物工場等)をビジネス化するための実証事業に補助金を交付する制度を昨年度に引き続いて実施すると発表。当社は同制度の趣旨を踏まえ、トマト栽培を大規模に展開する新地アグリグリーンに高糖度トマトの大規模生産システムの実証を提案したところ、同社の賛同を得ることができました。

また、事業化に不可欠な流通については、福島県を中心に東北から北関東にかけて生鮮食品をはじめとする食料品販売に実績があるヨークベニマルの協力が得られることになりました。こうして、3企業と1大学による「先端農業産業化システム実証事業」のプロジェクトがスタートし、これを新地町役場が全面的に支援するという体制が構築されました。

実証事業では、約30アールの既存ハウス内にサンゴ砂礫農法の栽培設備を整備します。サンゴ砂礫を用いた培地は、トマトの糖度や生育に大きな影響を与える含水率管理を容易に行えるなどの特長があり、これにより通常のトマトに比べて糖度が5割、収穫量が1割増すことが明治大学の中林准教授による過去の実験で確認されています。この実証事業が順調に進めば、農業の高収益化に寄与することができます。

(株)新地アグリグリーンでは、震災により同社の農作地の四分の一に相当する1.5ヘクタールを覆うハウスが倒壊したままの状態になっています。現在、このハウスの再建を計画中で、実証事業の成果をその新ハウスに展開することも検討しています。