ルートレック・ネットワークスは、2016年1月20日に国際協力機構(JICA)の「中小企業海外展開支援事業~案件化調査~」に、同社が提案する「ベトナム・ダラット高原におけるICT活用・次世代養液土耕栽培システム案件化調査」が採択された。
本案件化調査では、ベトナム・ラムドン省人民委員会、農業・農村開発局、ダラット大学等と協力し、ダラット高原における「ゼロアグリ」の導入・普及の可能性を検討する。さらに将来は、現地企業との共同事業により、同製品の普及を行い、ベトナムにおける農産物の高品質化とハウス農家の収益増大を目指していく。
ベトナム南部のダラット高原は冷涼な気候に恵まれ、ベトナム随一の野菜・花卉生産地域として発展してきました。しかし、近年のハウス栽培は、属人的な肥培管理に起因する収量や品質の不安定さと、多施肥による土壌の塩類集積が経営上の課題となっています。
写真左)ダラット高原におけるハウス栽培の様子 / 写真右)ゼロアグリ設置の様子画像の説明文
同社が開発し販売を行っている、ICTを活用した次世代養液土耕システム「ゼロアグリ」は、ハウス内の日射量や土壌水分量などを各種センサーより把握。これらデータを基に、作物の成長に合わせた最適な土壌水分量を独自のアルゴリズムより算出し、水と養液を混合した培養液を自動供給します。
作物にとって最適な土壌水分量を常に保つことができ、作物にストレスを与えることがありません。これまで分からない状態のままで水と肥料を与えていたハウス内の土壌状態を可視化し、制御することが可能となります。
現在日本では、ゼロアグリは既に8県13品目で採用され栽培されています。ゼロアグリ導入後、培養液量を最適な値に制御することにより、多くの農家の収量が向上し品質が安定しました。また、培養液量の自動供給により、新規農業参入する際もゼロアグリは使用しやすく、収量は熟練した養液土耕栽培者と同等、またはそれ以上を見込むことができます。
【用語説明】
養液土耕栽培:培地に土を使用する養液栽培方法。水に肥料をまぜた培養液を、地上に敷設したチューブより点滴により滴下する方法と、地中にパイプを埋めて供給する2通りがあります。 塩類集積を抑制し、水と肥料を効率よく吸収できるため、品質の安定と収量向上へとつながります。
【次世代養液土耕システム「ゼロアグリ」について】
各種センサー情報より、独自のアルゴリズムを用いて、作物が水と肥料を消費するパターンを分析します。作物の成長に合わせ、必要な土壌水分量を常にクラウドより自動制御することで、作物にかかるストレスをなくし、作物の成長を促し収量増大と品質安定化へと繋げ、生産者のかん水施肥に対する省力化へとも繋がります。
また、タブレット端末を利用し、現在の状態を把握し、供給量を簡単に変更することもできるため、これまでの勘と経験も反映することができます。各種センサー情報、培養液供給量、タブレットで撮影した写真などは、クラウド上に収集されるため、容易に情報共有に使用でき翌年度に参照することもできます。
【国際協力機構(JICA)の「中小企業海外展開支援事業~案件化調査」について】
この調査は、我が国の中小企業を対象とした「中小企業海外展開支援事業~案件化調査~」として実施されます。
案件化調査は、途上国の開発ニーズと日本の中小企業の優れた製品・技術等とのマッチングを行い、製品・技術をODA事業に活用するための 情報収集・事業計画立案等を支援することを目的としたもので、2012年度から実施されており、2015年度第2回分は昨年9月に公示を行いました。
120件の応募のうち34件が採択され、今後の契約交渉を経て契約に至ったものから、順次調査を実施します。
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