イタリア料理店チェーンのサイゼリヤと関連会社(農業生産法人)の白河高原農場(福島県・白河市)は、東日本大震災の津波で被災した農家の支援策として仙台市若林区でトマトの栽培に乗り出す。水耕栽培のため、津波の塩害とは無縁で、11月の初出荷を目指す。両社は「農業復興のシンボルとして若林区をトマトの一大産地に育てたい」と話している。
計画によると、農地は津波が浸水した若林区下飯田地区の水田約2ヘクタールで白河高原農場が借り受ける。サイゼリヤが1億円を拠出して6月にも造成工事を始め、20アール(2000平方メートル)のビニールハウス7棟や暖房施設、集荷場を建設する。白河高原農場は年間5000万円を投じ、若林区で被災した若手農家ら10人程度を研修生として採用する。2年間で低コストの栽培技術を身に付け、3年目での独立を目指す。トマトは8月に種をまき、11月から翌年7月かけて収穫し、主にサイゼリヤに出荷する。軌道に乗れば栽培面積を拡大し、3年目に350トン、5年目には423トンを生産する。5年目には同社に納入されるトマトの7割を賄う予定。
福島県・白河市にある直営農場は、敷地総面積は280ヘクタールにも上り、レタスやキャベツだけでなく、リゾットやピラフなどで利用する米、イタリア料理では必須のルッコラなども栽培している。水耕栽培は簡易型ハウスによる生産がメインであるが、併設した育苗施設もある。白河農場は今回の原子力発電所の事故を受け、メインの活動・機能が停止している。同社における迅速な対応と今回の震災復興支援に対して、消費者やマーケット関係者の評価も高まっているようだ。<参考情報:河北新報など>
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