キノコ希少品種「キヌガサタケ」を放置竹林にて栽培。里山再生モデルを提案

 菌床キノコの種苗法品種登録メーカー、株式会社ハルカインターナショナルと、循環型農林業プランナーの合同会社清流日本は、キノコの希少種キヌガサタケを、整備した竹林で栽培する社会問題解決型ビジネスの提案を開始した。

キノコ希少品種「キヌガサタケ」を放置竹林にて栽培。里山再生モデルを提案
キノコの女王キヌガサタケ。優雅な姿のキノコは高級食材としても知られています
具体的には竹林や里山保全の活動団体、協賛企業、自治体がともに、放置竹林の整備を行い、そこにキヌガサタケ栽培のための培地を投入し、関係団体・企業が栽培管理を行います。

発生すれば鑑賞会だけでなく、キノコを高値で販売することも可能です。提案ではまず、モデル事業地1カ所を公募し、パイロット事業を行い、モデル事例をつくり、全国にも広げます。

キヌガサタケは、キノコの希少種です。自然界ではもっぱら、竹林を生息地としていて、複数の県で準絶滅危惧種にも指定されています。キノコの女王とも呼ばれ、短時間に生長し、神秘的なマントを広げる様子は、多くの人を魅了しています。

高級中華料理やフランス料理の食材としても知られています。国内に流通しているのは中国産乾燥品ですが、ハルカインターナショナルは昨年の2018年夏季、自社農場ハウスで日本初の商用人工栽培に成功。

国内外20を超えるメディアで取り上げられました。人工栽培では、培地の栄養材の一つとして竹チップを利用しており、今後は竹炭も培地材として利用します。


ハルカインターナショナルは今年夏、本格栽培にも成功するとともに、簡易な栽培管理施設でも、キヌガサタケの菌糸が越冬し、キノコを発生させることを確認できました。このため人工培地を竹林に整備すれば、疑似的な自然環境によって、手間を掛けずに越冬、自生できるのはないか、とみています。

キノコ希少品種「キヌガサタケ」を放置竹林にて栽培。里山再生モデルを提案
キヌガサタケの幼菌
パイロット事業の具体的なスキームは、里山・竹林保全団体と協賛企業が事業主体となり、ハルカインターナショナルが技術支援を行います。

放置竹林が整備された場所で、春先から培地を投入し、栽培管理を行い、夏季にはキヌガサタケを発生させます。事業団体には1トン規模の培地(キヌガサタケ約3,000本分)を30万円で販売します。

竹林も利用した簡易栽培施設の整備費などを含め100万円以下で事業が可能です。栽培管理期間は簡易作業のため、作業者は数人で済みますが、発生時は半日で数百個発生するため、鑑賞会と収穫作業を合わせて企画する方法を提案します。

地域の自然保全団体は小規模化、高齢化が進んでいるため、企業の主体的な事業参入も受け付けます。パイロット事業の候補地は、流通先の確保や景観保全の優先度などで決めていく予定です。