世界のIT企業としてGAFA(ガーファ)と呼ばれるGoogle、Amazon、Facebook、Appleといった一部の企業がビッグデータを独占し、ビジネスを展開しているように、農業分野でも、農業ビッグデータを、どの企業が独占するのか、その動向が注目されている。
そして近年では、GAFAも含め、多くの大企業が有望なAgtech(アグテック)ベンチャーに投資を加速させている。
イスラエルのAgtech(アグテック)企業であるTaranis社は、高解像度のイメージ画像とAIによるディープラーニング技術を融合した農業プラットフォーム・サービスを展開しており、2015年にサービスを開始してから、約4年という短期間で急成長を果たした。
現在では、従業員が60名近くになり、5つの海外支店を開設。3000万ドルの資金を利用して2つのベンチャー企業を買収した。
同社の農業プラットフォーム・サービスは、約19,000名の農家が利用しており、病害虫の早期発見、さらには病害虫が発生する前兆を把握し、適切な対策を事前に講じることが可能だ。
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対象となる作物は大規模な露地栽培で、小麦、トウモロコシ、大豆、綿花、ジャガイモなどの大きな市場規模を持つ作物が中心。導入している国は、米国、カナダ、イスラエルの他、2017年からはブラジルやアルゼンチンにも進出。
その他にも、オーストラリア、ロシア、ウクライナにも導入実績があり、世界中にて利用している農家の合計作物面積は、2000万エーカー(=80,937平方キロメートル)にもなる。
航空画像と人工知能というソフト・ハード面の融合『AI2』
同社が開発した農業プラットフォームは「AI 2」と呼ばれるもので、AIは「航空画像 aerial imagery」と「人工知能 artificial intelligence」の2つを融合させたもの。
特徴は、ハードとソフトの両方について世界有数の技術を保有している点である。ハード面では、高解像度の航空イメージ画像を取得できる。ソフト面では、そうした精度の高いビッグデータをディープラーニング技術によって、いち早く対策を講じる方法を提案することができるのだ。