アサヒグループホールディングスの豊かさ創造研究所は、作物の生産性を上げ、持続可能性を高める農業生産システムを開発し、農研機構中央農業総合研究センターとともに、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA)の手法を用いた定量的な環境影響評価と、コストの視点から本システムを評価した結果を発表した。
<研究の背景と目的>
アサヒグループホールディングス株式会社では、これまでもビール醸造から発生する酵母の細胞壁を応用した農業資材(肥料)を開発し、これが作物の生産を飛躍的に向上することを確認してきました。しかし副産物をもとに製造された肥料は、作物の生産性向上に加え、GHG(温室効果ガス)の排出削減等への貢献も期待されるものの、これまで十分な検討が行われてきませんでした。
そこで、アサヒグループホールディングス株式会社と農研機構中央農業研究センターは、上述の農業資材を利用することが、農業の生産性向上とライフサイクルでの温室効果ガス排出量削減にどの程度の貢献をするかを明らかにするため、LCAをベースとした評価の枠組みを新たに開発し、本農業資材を用いた稲作の総合的な評価を行う事としました。
<試験結果>
新たに開発した農業資材を用いた稲作は、従来の方法と比べ、収穫量あたりの温室効果ガス排出量が大きく減少すると計算されました。これは、単位面積あたりで比較した場合に、新たな稲作では収穫量が大幅に増えるにもかかわらず(対照の施肥に比べると17~37%の増収)、温室効果ガスの排出量はわずかな増加にとどまるためです。
このことは、新たな農業資材を利用するために少額の追加的コストを支払うことにより、相対的に大きな成果が得られることを示しています。本農業資材は、稲作が中心である東アジア・東南アジアにおいて、食糧の増産、持続可能性の向上に大きく貢献できる可能性を秘めていると考えられます。
【収穫量当たりのCO2排出量】
【対照区と酵母資材使用区の水稲】
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