物流大手のセンコーでは、鳥取県の廃校を利用した障がい者雇用型の植物工場・農業ビジネスを行う「センコースクールファーム鳥取」の開所式が2010年7月に開催された。
鳥取県・湯梨浜町で2006年に廃校となった旧羽合西小学校のグランドに、ビニールハウスを6棟を設置し、青ネギの水耕栽培を行っている。
ハウス施設は、40m×8mが6棟。その他、プールにためた雨水を循環させて利用する等、学校全体の施設を有効活用している。
校舎内では、温度や湿度が管理しやすい教室にて、タモギ茸(たけ)などのキノコ栽培、植物工場によるレタスや葉野菜の生産・育苗施設として活用する。
計画では最終的に、障がい者と高齢者を計35人雇用予定となっている。収穫した作物は、中四国、関西のスーパーなどに出荷し、年間6,000万円前後の売上を目標に設定している、という。
廃校利用について、校舎やグラウンドなどを年160万円で湯梨浜町から借り、設備投資額は障害者向けの施設改造費を含めて計5,200万円前後に抑えれる見通し。
※ 同社による最新資料
水耕栽培やキノコ栽培などの設備プラントや付帯設備、校舎リフォーム工事、太陽光パネルの設置などで、全体の初期投資額は約1.2億円がかかった、という。
全国の廃校を活用した植物工場ビジネスの展開も視野に
合併する市町村に財政優遇措置を与えることによって、国が1999年から促進した市町村合併(平成の大合併)により、1999年3月末に全国で3,232あった市町村は、1,760まで減少した。
少子化もあり、小学校の統廃合が進む要因にもなり、文部科学省によると、全国の公立小学校は2万1,974校で、1999年に比べて1,970校が減少した、という。
こうした背景を受けて、各社とも廃校を利用した農業・植物工場ビジネスや、食・農業をテーマとした宿泊施設の建設を予定しているようだ。
センコーでは鳥取だけでなく、山口市徳地島地にある廃校、旧島地中学校を活用して植物工場「スクールファーム山口(仮称)」の進出を計画していたが、2011年12月、進出計画を中止している。
中止した主な理由として、「3月の東北大震災で仙台支店や石巻営業所など4カ所の物流基地が壊滅的被害を受け、その復旧に社の資本を集中投資するため」。
その他、同様のモデルで廃校利用・農福連携型の植物工場ビジネス展開を視野に入れていたが、大震災の影響を受けて、全てのプロジェクト計画がいったん、凍結されている。
※ 写真は同社によるウェブサイトより引用