植物工場によるイチゴの採算性

【植物工場によるイチゴの採算性は?人工光 or 太陽光のどちらが良いのか?】

植物工場によるイチゴの採算性

他社からの技術ライセンスであっても、施設稼働から1年以内に商業的な生産・販売を目指すのであれば「太陽光利用型」を強くお勧めする。ただし、将来的な量産体制の確立、栽培データの販売や植物工場設備・システムの販売を目指すのであれば、人工光によるイチゴ栽培は検討の可能性が大いにあるだろう。どちらにしても、両システム(人工光・太陽光)とも、海外市場には大きなビジネスチャンスがあることは間違いない。

 国内では現在、多くのイチゴ(生食用)が農業用フィルムを利用した施設園芸にて生産されている。燃料費・人件費・導入設備・補助金等によって生産コストは異なるが、世界的にみると日本のイチゴは、他の生産国の3~5倍の価格差があり、日本国内では非常に高額で取引されている。もちろん、冷凍や加工用イチゴも含めた各国の取引価格であるため、日本のように生食用を中心に生産されたものと価格だけで単純比較することはできない。

植物工場によるイチゴの採算性さらに完全人工光型植物工場にて生産されたイチゴの生産コストは高くなる。現在の技術水準で弊社がシミュレーションした場合、国内の平均的な取引価格の2~2.5倍にて販売しなければ採算性が合わない、と推測される。この販売価格は、量産技術が確立されておらず、小規模施設で生産した場合を想定している。

 結果的に価格のみで比較した場合、現状では太陽光利用の方が成功する可能性が高い印象をうけるが、人工光によるイチゴ栽培が儲からないわけではない。最終的には、どういった事業モデルにて展開するのかが重要となる。
そこには、市場・ニーズ調査に基づいたイチゴの商品づくり(食味・特徴・栄養価など)、ブランディングも含めた販売戦略などトータルな事業スキームの構築が必要となるだろう。

【イチゴを太陽光で生産する理由】

植物工場によるイチゴの採算性

最大の理由は「人工光型植物工場での稼働実績・データ不足により、安定的な生産技術が確立できていない」ことである。既に、国内でも完全人工光型植物工場によるイチゴの生産が始まっている。例えば、日清紡ホールディングスやいちごカンパニーなどが生産・販売を行い、ロームの子会社でもイチゴの人工光栽培に取り組むことを発表しているが、他企業への技術ライセンスを正式に行っている企業はゼロに等しい。

既に生産を開始している企業も現在は、自社施設における生産の安定化・運営管理に多くの時間や人材を割いており、技術ライセンス事業にまで手が回らない状態である。(なお、人工光型植物工場で栽培したイチゴを食べたい、というお問合せも多いが、ほとんどの企業が業務用として販売しており、スーパーなどの小売店で入手することができない。)

レタスの植物工場では黒字化事例も

植物工場によるイチゴの採算性完全人工光型植物工場について、国内では葉物野菜の生産を中心に多くの企業が参入を果たしている。市場規模の小さなニッチビジネスとして、主に中小企業やベンチャーによる設備開発や生産が行われていたが、近年では大手企業が次々に参入を果たし、大きなプロモーション活動を行うことで一般消費者への認知も進んでいる。

そして、リーフレタスの安定的な量産ノウハウが確立し、数年前では困難であった生産・販売事業での黒字化を実現する企業も現れているが、こうした黒字化事例は、各企業・大学が施設稼働による膨大な栽培データを蓄積した結果であって、イチゴの人工光栽培についても今後、安定的な量産ノウハウが確立するまでに、最低でも3~5年の期間が必要である、と考えられる。

 言い換えれば、取引価格の高いイチゴという商品について、将来的なビジネスチャンスを見越して、イチゴの人工光型植物工場に関する「安定的な量産ノウハウ」の確立を今から目指す価値はある、といえるだろう。なお、ここでいう「安定的な量産ノウハウ」とは、イチゴの同時定植株数として数万~10万株以上の大規模施設を運営し、毎日安定的に出荷する場合を想定している。

【人工光型植物工場によるイチゴ栽培に取り組みたい場合】

弊社ではイチゴ栽培用の植物工場システムの販売は行っていないが、多くの民間企業様と実施した共同研究データ・ノウハウ(主に葉物野菜)をもとに、植物工場システムの設備レイアウトや栽培方法に関するアドバイスを行うことは可能である。例えば、人工光型の設備面・イチゴ栽培の両方からサポートすることができる。

  • 人工光型植物工場システムの必要条件・設備レイアウトに関するアドバイス
  • イチゴ苗の提供、イチゴの植物生理/栽培環境に関するアドバイス(パートナーの横田ファームが実施)
個別事例・情報収集サービス あるテーマについて、どんな事例があるのか、概要を把握したい。
個別相談・アドバイスサービス 明確な調査項目はないが、とにかく色々と相談したい。

【日本におけるイチゴの生産技術と海外市場について】

植物工場によるイチゴの採算性

イチゴは付加価値の高い商品の一つである。贈呈用は別として、国内では1kgが1,000円前後で取引されている。日本では各県単位にて品種改良や栽培システムの開発を行っており、品種改良技術は世界でもトップクラスである。以前までは、一季成り品種の開発が中心だったが近年は四季成り性品種の開発も進んでいる(関連記事:太陽光型植物工場でも周年栽培へ 新たな四季成り品種を開発)。これほど施設園芸にてイチゴを生産している国は世界でも珍しい。ただし、一般的な施設園芸での生産量トップは中国となる。

植物工場によるイチゴの採算性イチゴはレタスなどの葉物野菜と異なり高度な栽培技術が必要となることから参入ハードルも高く、民間企業による新規参入は非常に限られている。国内では小規模農家が生産の中心であり、こうした農家に多くの技術ノウハウが蓄積されている。品種それぞれに特性があり、最適な栽培環境条件も異なることから、たとえ人工光型植物工場によるイチゴ栽培であったとしても、こうした農家が保有する知識を大いに活用するべきである。

 ただし、民間企業が大規模なビジネスとして展開する場合、農家が保有する暗黙的な知識を科学的データに基づいた生産システムに変換し、日々の運営は最低限の研修を受けたスタッフでも管理ができるような形にしながら、事業の規模拡大がはかれる工夫が必要となる。また太陽光を利用する場合は、多少なりとも外部からの自然環境の影響をうけることになり、定期的な形で専門家・コンサルタントの指導やアドバイスを受ける必要があるだろう。

 世界的にみると、イチゴの生産量は拡大しており、海外市場には大きなビジネスチャンスがある。メディアでは、日本から輸出されたイチゴが海外では1パック数千円で販売されていると報道されているが、同じ販売棚には、地元産の他、アメリカやスペイン、韓国などの海外商品も陳列されている。

海外市場を狙った事業展開では、市場・マーケティング調査から、品質や価格、ターゲットとする顧客を事前に決定した後、条件にマッチした生産システムを選定する必要がある。価格帯によっては植物工場のような立派なものではなく、加温・冷却設備など最低限の環境制御ができる施設園芸(太陽光利用型)がベストの場合もあり、それでも条件に合わない場合は、海外資材や中古の温室ハウスを利用する方法も考えられるだろう。

植物工場によるイチゴの採算性
例えばマレーシアの日系スーパーには、現地産の他、日本・韓国・米国のイチゴ商品が販売されている。
その他にも様々な水耕栽培レタス・葉野菜商品が販売されていた(弊社撮影)。

【市場調査・コンサルティング】 新規参入にあたり市場調査分析や具体的な事業プランを提案してほしい。

野菜の生産や製品・サービス開発など新規参入にあたり、市場調査分析をもとにした具体的な事業プランを提案いたします。その他、生産設備の設計・レイアウト/建設支援/稼働後の栽培指導や人材育成トレーニングなども行っております。

【視察コーディネート】 市場調査も兼ねて海外の企業や研究者を訪問し、施設を訪問したい。

海外現地の市場調査、技術レベルの把握、将来的なパートナー候補の選定、海外製品を購入する前の現場確認など、さまざま目的にて海外を訪問・視察する際のコーディネートを行います。

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