肥沃で未開発なアフリカ諸国の土地での生産だけでなく、自国内の農業・食料自給率向上を目指すカタール政府/自国内の4万5千haの土地を農地へ

多くの中東・GCC諸国が食糧安全保障の確保を見据えてアフリカ諸国の土地を購入するなか、カタールは他国に先駆けて自国内での食糧生産を拡大するとの新たな計画を始めつつある。2013年での実施を目指す「カタール国家食糧安全保障計画」がそれである。同計画は自国の土地4万5000ヘクタールを農地に変えることを目指している。
 
 
外国人労働者を含めて人口約180万人のカタールの食糧自給率は僅か10%である。食糧農業機構(FAO)の統計によれば、カタールの国土のうち耕作面積は1.6%に過ぎず、国内総生産(GDP)に占める農業の比率となると0.1%止まりである。また世界銀行によれば、GCC諸国は食糧の約90%を輸入に依存しており、2010年の食糧輸入額は258億ドルに達している。カタールの同年の食糧輸入額も13億ドルを記録している。
 
 
食糧輸出国による輸出の停止や天候などの自然災害による食糧輸入の困難化を懸念するGCC諸国は、エチオピアやスーダン、モザンビークなどアフリカ諸国の肥沃だが未開発な土地を自国向けの食糧栽培用に購入してきた。カタールも例外ではなく、例えばケニヤのタナ川のデルタ地帯の40万ヘクタールの土地のリース契約を30億ドルで結んでいる。
 
 
しかし、ここに来てアフリカ諸国も、GCC諸国による農地の購入で自国の食糧不足が起きるのでは、との懸念を高めつつある。カタールの新たな食糧自給計画は、こうした最近の動きを踏まえたものである。ムハンマド・アル・アッティーヤ・カタール国家食糧安全保障計画委員長は、同計画について次のように説明している。
 
■ 最新の技術を駆使すると共に、生産性を向上するために農業部門従事者の訓練も行う。
■ 現在のカタールの農民は能力のある人材や水不足から、農業部門の潜在能力の10%程度しか使っていない
■ ハマド首長の発出した勅令は2013年までにマスタープランを作成しその後10年以内に食糧自給を達成するよう求めている。
 
 
カタールの意欲的な食糧自給計画について、Jacob Blaustein Institutes for Desert Researchのペドロ・ベルァイナー所長は、次のような留意点を挙げている。因みに、同所長は乾燥地農業の専門家でもある。

■ 計画は可能だが多くの課題も抱えている。
■ 技術は多くの自然条件を克服してきた。
■ しかし、全ては費用次第である。
■ グリーンハウスで小麦を栽培できるが、費用は約5倍になる。
■ また、高度の技術を持つ人材を自国で育成するか、外から優秀な外国人労働者を導入するかが必要になる。
 
今後のカタール政府に関する取り組み・計画が公表され次第、当サイトでもご紹介していきたいと考えている<参考:中央アジア・コーカサス研究所Jerusalem Postより>