使用エネルギー削減・低炭素を実現する持続可能な低コスト型植物工場の実証実験<光ダクト、バガス炭などを利用、沖縄デージファーム>

コンピューターや通信技術などのICTを駆使して植物工場の生産性を高める「沖縄デージファーム詳細記事)では、NPO亜熱帯バイオマス利用研究センターを中心に、有識者や企業、自治体関係者でつくる沖縄デージファーム協議会をつくり、様々な実証実験を行っている。7日に開催された植物工場ICT事業総括シンポジウムでは、琉球大学の上野正実(NPO亜熱帯バイオマス利用研究センター理事長)、川満芳信、近藤義和教授らが沖縄の気候風土に合った低コスト型植物工場の研究成果を発表した
 
 
シンポジウムでは、エネルギーコストを下げるために太陽の光を室内に取り込む「光ダクト」サトウキビの搾りかすでできた「バガス炭」を利用した集熱システムによる冷房稼働について発表。川満教授は「冷房や除湿に必要なエネルギーをいかに低コスト、低炭素で生み出すかが沖縄の植物工場の課題」と指摘する。
 
光ダクトは、表面処理鋼鈑や機能材料などの製造・販売を手掛ける東洋鋼鈑との共同研究。太陽光から植物の光合成に必要な波長(400〜700ナノメートル)だけを透過させ、熱や紫外線などを通さない特殊な鋼鈑を利用。光を取り込む角度などを工夫し、電力を使わずレタス栽培に成功した。
 

<写真:東洋鋼鈑社の光ダクトを利用した教育施設,緑の教育館より>

 

一方、サトウキビの搾りかすでできた「バガス炭化物」を利用した集熱システムでは、バガスにある微多孔が太陽光を効率的に吸収して熱に変換する特性に着目。集めた熱で冷房を稼働させる仕組みを開発した
 
 
植物工場は蛍光灯やLEDが放出する熱の冷却にコストが掛かることが難点。光ダクトで外部からの熱を極力抑え、冷却に必要なエネルギーにバイオマスなどを活用することで、運営費用の大幅削減が期待できるとした。バガス炭は培地として利用した場合でも植物の成長を促進する効果があるという。川満教授はバガスに含まれるミネラル成分の効果とみている。教授らはほかに、ニガリを使った液肥の効果や、廃液の出ない噴霧栽培の方法などを研究しており、持続可能な低コストのシステムを構築し、実用化を目指している。
 
また、上野教授は空き店舗などに植物工場を導入し、高齢者など社会的弱者が主体的に関われる総合的な運営・管理の仕組みを提案。インターネットのeラーニングで工場管理などの実務を学ぶ人材育成にも取り組むことを紹介した。<参考:沖縄タイムスより>
 
 

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