東京都内で稼働する植物工場/老舗の東京ドリームは被災地へ工場レタスを無償提供、一方の小津産業は年内に操業停止

東京都内にて稼働する植物工場について、キューピーから技術提供を受けている老舗の東京ドリームと、みらい社から技術提供を受け、2008年6月に植物工場事業を開始した小津産業に関する関連記事を掲載しておく。尚、完全人工光型の植物工場を稼働させていた小津産業は、年内にも撤退予定だという
 
 
東京ドリームについては以前にも紹介したことがあるが(関連記事)同社は、東京都小平市内の住宅街にあるかまぼこ形の建物で野菜を生産している。キューピーからの技術提供を受け、1997年に生産スタートし、今では年間で葉もの約30トンを生産している。 
栽培室は外気が入らないよう密閉され、背の高さほどの栽培ボードにはリーフレタスなど葉もの野菜がギッシリと植え付けられている。光源は、高圧ナトリウムランプを採用しており、むき出しになっている野菜の根に培養液が直接噴霧される仕組みである。
 
 
もともとは有機農業に取り組んでいた浅見三二さんが、96年に会社を設立。「外部から遮断されて育つため、病害虫や雑菌に脅かされず、農薬を使う必要もない。洗わずにそのまま食べられる、安心・安全の野菜です」と胸を張る。販売先は、総菜などの業務用が約7割、残り3割が一般消費者向けの小売り、とのこと。
 
 
閉鎖型の施設では、種まきと収穫を毎日行うことができ、生産計画が立てやすい。農閑期がないため従業員の雇用も安定している。肥料や農薬の臭いなど、住宅地に近い都市農業ならではの、ご近所トラブルとも無縁というメリットがある一方で、工場設置など初期費用と電気代などの運営費が課題。浅見さんによると、工場産野菜は一般の野菜の市場価格よりも2割ほど高く、“高コスト体質” は創業時からの悩みの種という。
 

<小津産業の日本橋やさい>

同じように東京都にある紙卸業「小津産業」が府中市内で運営する植物工場が、年内で操業停止することになった。グループ会社の紙倉庫を活用し、3年前に完成した大規模工場。蛍光灯を使った人工光栽培で、レタスやバジル、クレソンなど年間で約60万株を栽培していた。だが「工場の維持管理費、人件費が重く、採算に合わない」と撤退を決めたという。
 
 
東京ドリームは4月、東日本大震災の被災地へ、同社産のレタス110キロを無償提供した。水も野菜も不足する大災害の被災地で、工場産野菜の新たな活用法を示す事例といえる。浅見さんは「工場で生産する野菜の多様な付加価値が、消費者にまだまだ認知されていない」とした上で、「一層のコストダウンと技術革新が必要」と話す。<参考:読売新聞より>
 
 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
植物工場・農業ビジネス編集部

植物工場・農業ビジネス編集部

投稿者プロフィール

植物工場・農業分野を中心に環境制御技術に関する最新動向ニュースを配信しております。

この著者の最新の記事

関連記事

大和ハウス工業 アグリキューブ 植物工場バナー
次世代農業EXPO 植物工場バナー
植物工場ビジネス・セミナー講義バナー

過去のピックアップ記事

  1. タイのショッピングモールでの屋上菜園。環境志向型アグリビルディングの実証スタート
     タイのチュラーロンコーン大学が約2000万円を投じて、7階建てのショッピングモール(サイアム・スク…
  2. 韓国ソウル市の「地産地消型クッキング講座」。屋上ファームと料理教室の融合サービス
    都市部住民をターゲットに「ルッコラ」をテーマにした屋上キッチン教室を開催  ソウルの広興倉駅の近く…
  3. オーストラリア政府がクリーン技術に1000億円以上の支援。環境配慮型の植物工場にも注目
     オーストラリア政府は、太陽光や風力などの自然エネルギーや省エネ・CO2などの排出削減など、地球環境…
  4. 国際宇宙ステーション内の植物工場にてレタスを初めて試食
     国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士が、機内の植物工場…
  5. ハイテク自動化が加速するシンガポール農業。植物工場など多段式の新技術にも注目
    国内における葉野菜の生産量11トン以上、自給率13%を占める  シンガポールでも農業のハイテク化が…
  6. 農業先進国の台湾にて「国際果実・野菜見本市」展示会が11月に開催
     台湾国際果実・野菜専門見本市が11月10日から3日間にわたって開催される(詳細記事/出展企業紹介)…
  7. 中国でも施設規模の拡大と労働者不足により小型農機の需要増
     人民网・天津報道局によると、キュウリの収穫・運送、または収穫後の梱包作業に要する一人当たりの人件費…
  8. NKアグリ、露地野菜で初の栄養機能食品・リコピン人参「こいくれない」誕生
     NKアグリ株式会社は、全国7道県、約50名の農家と連携し、機能性野菜「こいくれない」の2016年度…
  9. 国内最大規模の植物工場施設の運営とライセンス事業を開始
     株式会社フェアリーエンジェルは、福井県美浜町に日本政策投資銀行から10億円の融資を受けて、大規模な…
  10. 大規模植物工場のスプレッドが生産体制を増強・フランチャイズ事業を展開へ
    スプレッドでは、植物工場野菜ブランド『ベジタス』の需要増加に伴う生産体制増強のため、自社の技術力を結…
150629_英語ページバナー ログインページ(無料会員登録)_topside.logo
無料相談(経営相談・新規事業)バナー
151226 プレス募集バナー PR記事バナー 人材募集バナー

注目記事

  1. カナダの藻類ベンチャー、閉鎖型・植物工場とアクアポニクスの融合設備にてスーパーフードを生産
     カナダ・リッチモンドの藻類ベンチャーであるアルジブルーム・インターナショナル社は、1年前にスピルリ…
  2. ロシアのVTB銀行がアルメニアにイチゴの植物工場プラント建設に資金提供
     ロシアのVTB銀行は、アルメニア共和国・コタイク地方に最新技術を導入したイチゴの植物工場(太陽光利…
  3. 大林組、植物工場ベンチャーのスプレッドと提携。日産3万株の大規模施設を検討
     株式会社スプレッドは同社が開発した完全人工光型植物工場”Vegetable Factory(TM)…
  4. 三菱化学、ローソンファーム秋田からベビーリーフ用の植物工場システムを受注
     三菱化学株式会社は、株式会社ローソンファーム秋田からベビーリーフ用の完全人工光型植物工場システムを…
ページ上部へ戻る