企業・住友化学(経団連)と農協が農業のハイテク化を目指し協力関係へ<模型ヘリによる農薬散布・無人トラクターでの肥料まき>

経団連が、愛媛県西条市や地元農協と協力し、農業のハイテク化の実証実験を始める。企業と農協が農産物の生産で協力するのは珍しく、経団連は、国際競争力の高い農業のモデル作りを目指す。企業の農業参入を促す狙いもあるが、農協側には警戒感もあるようだ。
 
 
瀬戸内海に面する西条市の中心部から約2キロの水田地帯。青々とした稲が育つ田んぼは、今年の収穫が終われば、経団連の「西条農業革新都市」プロジェクトの畑に変わる予定である。実験の中心は、経団連の米倉弘昌会長が会長を務める住友化学同社が9割以上出資する株式会社サンライズファーム西条を、市の第三セクターやJA西条と共同で8月に設立。5ヘクタールの土地を借りてレタスやキャベツ、ネギを育てる計画
 
 
新会社では、三菱重工業やパナソニックが協力し、模型ヘリによる農薬散布や無人トラクターでの肥料まきを導入。インターネットカメラを使って事務所や自宅から作物の状況を監視する。住友化学CSR推進室の西広信部長は「各社の技術を統合したシステムをつくり、省力化を進める」と意気込む。高級レストランなどの販路を開拓し、2013年ごろには黒字化する計画だ。
 
 
市は近く、農業活性化を目指し総合特区に申請する方針。経団連は企業による土地取得の規制緩和などを盛り込んでもらい、企業の参入を促したい考えであるが、一部の農協(JA)は参加・協力を見送り、警戒感もある
 
 
西条市は「うちぬき」と呼ばれる地下水の自噴井が有名。豊富な水資源を生かそうと、市は夏場のイチゴ栽培などに取り組んできたが、高齢化もあり、耕作面積は7年間で約1割減少。同市の真鍋和年参与は「危機感は強い」と話す。生産性向上に必要な多額の設備投資も、住友化学の資金調達力なら可能になると期待する。例えば、形が悪く捨てていた野菜を、名水で洗ってカット野菜に加工し、「うちぬき」ブランドで売り出す、真鍋氏はそんな構想を描く。
 
 
ただ、農協(JA)グループには「効率性を重視する企業は農業に向かない」という意見が強い。従来担ってきた野菜や資材の流通が、農協を素通りするようになるという不安もある。しかし、後継者不足の解決策はなく、JA西条は「野菜価格は横ばいで、生産者も減っていく。ファームに加わる方が組合員のメリットになる」(木村春雄参事)と参加を決めた。住友化学も肥料購入や野菜の販売は、できるだけ農協を経由すると約束した。一方、市西部のJA周桑は参加を見送った。ファームと競合する野菜をつくる組合員も多く、戸田耕二専務は「現時点ではメリットが見えない」と慎重な姿勢を見せている<参考:asahi.comより>
 

以下、住友化学のプレスリリースを掲載。

愛媛県西条市における「株式会社サンライズファーム西条」の設立について

住友化学は、「株式会社サンライズファーム西条」を、株式会社西条産業情報支援センター、西条市農業協同組合との共同出資により、愛媛県西条市に設立いたしました。新会社は、日本経済団体連合会が全国11の地域で進める「未来都市モデルプロジェクト」のうちの一つ、「西条農業革新都市」の推進母体として先進的な農業技術の実証実験に取り組みつつ、地域農業の活性化の起爆剤としての役割も果たしていきます。
 
住友化学は、グループ企業も含め農業関連製品やサービスを幅広く取り扱っており、安全安心で効率的な農業生産を総合的に支援する「トータル・ソリューション・プロバイダー」ビジネス(TSPビジネス)を展開しています。
 
TSPビジネス実証の場として、既にイチゴ栽培を行う「株式会社住化ファーム長野」とトマト栽培を行う「株式会社住化ファームおおいた」を運営しており、そうした事業活動を通じて培ってきたさまざまな知見やノウハウを新会社を通じて地域の農業関係者の皆さまと共有することで、地域農業の発展に貢献していく所存です。
 
また、新会社で取り組むさまざまな実証実験を通じて得られた知見やノウハウの中で、東日本大震災の被災地においても適用が可能と思われるものについては、速やかに水平展開を図り、被災地における農業の早期復興に役立てる予定です。なお、今後、三菱重工業株式会社、パナソニック株式会社からも新会社に出資いただく予定です。
 
<新会社の概要>
1.社名 株式会社サンライズファーム西条
2.設立日 2011年8月10日
3.所在地 愛媛県西条市
4.資本金 9,780万円
住友化学9,380万円、西条産業情報支援センター300万円、JA西条100万円
5.社長 西本 麗(住友化学 常務執行役員)
6.借地面積 約4.8ha
7.栽培作物 レタス、キャベツ、ネギ等
8.栽培開始 2011年11月(予定)

以 上

会社名 株式会社西条産業情報支援センター
代表者 代表取締役 伊藤宏太郎 (愛媛県西条市長)
設立年月日 1999 年9 月17 日
所在地 愛媛都西条市神拝甲
資本金 1,500万円
事業内容 企業化促進研修、マーケティング相談・指導、情報収集提供等

○出資組合概要
組合名 西条市農業協同組合
組合長 久門忠夫
発足年月日 1965 年11 月1 日
所在地 愛媛県西条市神拝甲
組合員数 3,764 名(2010 年3 月31 日現在)

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
植物工場・農業ビジネス編集部

植物工場・農業ビジネス編集部

投稿者プロフィール

植物工場・農業分野を中心に環境制御技術に関する最新動向ニュースを配信しております。

この著者の最新の記事

関連記事

植物工場・スマートアグリ展2017
次世代農業EXPO 植物工場バナー
植物工場設備販売(人工光型)_バナー

過去のピックアップ記事

  1. スプレッドがアフリカ地域への植物工場システム導入の可能性を検討
     完全人工光型植物工場を運営するスプレッドは、京都府亀岡市に国内最大規模の植物工場を稼働させているが…
  2. 経産省、農商工連携を活用した海外販路開拓。農林水産物・食品輸出に関するシンポジウムを2月に開催
     経済産業省は「日本から世界へ!農商工連携を活用した海外販路開拓!~グローバルバリューチェーン構築の…
  3. 米国の水耕小売企業が垂直型植物工場にて巨大なバジル栽培に挑戦
     人工光植物工場による垂直栽培装置の製造・販売を行うスーパークローゼット・ハイドロポニクス社では、自…
  4. ベトナムの不動産開発ビン・グループ、有機露地栽培・植物工場など高品質野菜の生産へ
     ベトナムの不動産開発大手のビン・グループは、子会社(ビン・エコ)を設立し、有機栽培や植物工場などの…
  5. スプレッドがアフリカ地域への植物工場システム導入の可能性を検討
     完全人工光型植物工場を運営する株式会社スプレッドでは、植物工場の導入を希望するコンゴ民主共和国の要…
  6. 米国ワシントンの大学、食・農業ビジネスを通じて都市問題を解決する起業家の育成へ
     米国ワシントンDCにあるディストリクト・オブ・コロンビア大学では、食・農業ビジネスを通じて都市問題…
  7. カナダの植物工場市場/国内における施設面積1335ha・市場規模1568億円にて主力産業の一つ
    米国の植物工場・市場動向トレンド  世界市場において植物工場への投資が加速している。米国では人工光…
  8. 水不足のカリフォルニア州にて新たな都市型CSA農業モデルを実践。水耕栽培・アクアポニクスによる新技術導入
     昨年(2015年)の米国・カリフォルニア州における水不足は深刻な状況であった。同州では水不足の状態…
  9. 植物工場によるベビーリーフの受託生産を計画
     福井県にて大規模な完全人工光型植物工場を運営するシーシーエスは、ハウス土耕などでベビーリーフを生産…
  10. 福島・南相馬に太陽利用型植物工場が稼働 カゴメの技術指導と全量買取
     太陽光利用型植物工場によるトマト栽培を行う響灘菜園は、カゴメと電源開発の出資を受け、2005年5月…
150629_英語ページバナー ログインページ(無料会員登録)_topside.logo
無料相談(経営相談・新規事業)バナー
151226 プレス募集バナー PR記事バナー 人材募集バナー

注目記事

  1. シカゴの都市型農業、米国農務省による100万ドル以上の補助支援を受けて農地整備・人材育成へ
     シカゴ市は米国の連邦政府補助金として100万ドルをかけて、都市型農業の整備や人材育成、新規事業の支…
  2. NYのジョンFケネディ空港にて、新たな都市型農業PJがスタート
     学校(Farm to School)やレストラン、消費者(Farm to Table)といった地産…
  3. 三菱樹脂、サラダほうれん草などの植物工場野菜「ヴェルデプラス」の本格販売開始
     三菱樹脂株式会社は、長浜工場(滋賀県長浜市)内に設置した太陽光利用型植物工場で収穫した野菜のブラン…
  4. 富士通など、フィンランドに完全人工光型植物工場を活用する農作物の生産・販売を行う新会社を設立
     富士通株式会社と株式会社富士通九州システムズ(FJQS)は、Robbe's Little Gard…
ページ上部へ戻る