岡山理科大・工学部の山本俊政准教授が開発した淡水にナトリウムやカリウムなどを加えた「好適環境水」を使って、キャンパス内でのトラフグの養殖に成功し、7月28日に、市中央卸売市場に初出荷した。海水以外で養殖したフグが出荷されるのは国内初という。
好適環境水は、海水魚に必要なカリウムなどの電解質を水道水に加えたもので、淡水魚と一緒に生活できる。塩分調整が不要なため、魚はエネルギーを成長に振り向けることができ、生育が早いのが特徴でる。
普通の養殖でトラフグを1キロサイズにするには2年ほどかかるが、今回は1年2カ月しかかからなかった、という。さらに、もともと病原菌がいないため、抗生物質など薬品が不要なうえ、水道水なので海水を運ぶ必要がなく、低コストで養殖できるのもメリットの一つ。
今回は昨年4月、熊本県産天然トラフグの卵約2万6千粒を好適環境水中に投入し、孵化した2万匹のうち、約1000匹を35トン水槽に移し、約850匹が1キロ程度(体調35〜37cm)まで育った。天候や水温の変化、病気の影響を受けないため、通常の養殖より約10か月早く育成出来たといい、「おかやま理大フグ」のブランド名を付け、販売することにした。
市場では試食会もあり、「通常の養殖フグより甘みがあり、身もしっかりしている」と評価も上々。初競りには52匹が出され、養殖フグの価格(1キロ2300円程度)を大幅に上回る、冬の天然フグ並の1キロ4000円の高値が付いた。9月には残る800匹を出荷予定である。<参考:読売新聞など>
Editor's Picks
-
田んぼに浮かぶホテルがコンセプト、スイデンテラスがリニューアルオープン
-
緑演舎による造園家がプロデュースする個人住宅向け「GARDENNERS HOUSE」事業をスタート
-
ミラノ都市部で自然に囲まれたオフィス空間を実現。ハイテク企業や研究者のハブ施設へリニューアル
-
シンガポールの高層住宅タワーをリニューアル。屋上には住民参加型の菜園も整備
-
メルボルンに駐車場スペースを活用した屋上農園「スカイファーム」が来年に完成
-
台湾の青果市場、屋上に農場を導入した最新施設として2020年に完成予定
-
ロンドン、屋上に植物工場ファームを併設した地元フードコート施設を開設
-
UAEの陸上養殖ベンチャー『Fish Farm社』サーモンなどの魚を本格販売へ
-
カナダの大学が連携。クリーン・エネルギー技術を活用した『高層タワー型の植物工場』を計画
-
海面上昇の対策、海洋に浮かぶ街「フローティング・シティ」食料やエネルギーの自給自足を実現